脱水症とは

脱水症とは、体内の水分が不足し、身体の機能が正常に働かなくなる状態を指します。

体内の水分は血液や細胞の成分を作り、体温を調節し、栄養素や酸素を体全体に運ぶ役割を果たしていますので、十分な水分がなければ身体は適切に機能できなくなります。

脱水症の初期症状では、口の中が乾いたり、体のだるさやめまい・ふらつきなどがあります。脱水症は年間を通じて起こる症状となりますので、こまめな水分補給や経口補水液などの摂取が大切です。
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脱水症の症状とは?

脱水症の症状とは

脱水症は体内の水分が不足する状態で、脱水症の症状は軽度から重度まで変わります。

特に重度の脱水症は命に関わることもあるため、重度の脱水症の症状が現れた場合には、直ちに医療機関に連絡し、適切な治療を受けることが重要です。

軽度から中度の脱水症の症状

・口が乾く、喉が渇く
・尿の量が少ない、又は尿の色が濃い
・頭痛やめまい、疲労感や吐き気
・気分がすぐれない、集中力の低下
・便秘、便が硬い

重度の脱水症の症状

・極度の渇き、非常に乾燥した口と皮膚
、尿が非常に少ない、尿が全く出ない
・目のくぼみ、皮膚の弾力の低下(皮膚をつまむとすぐに元の位置に戻らないなど)
・心拍数の増加、脈拍が早い
・混乱、不安、けいれん、昏睡状態、意識が遠のく
・低血圧、血圧の急激な低下

脱水症のセルフチェック方法

脱水症のセルフチェック方法

脱水症のセルフチェックをするための一般的なチェックリストを記載します。以下の症状がある場合、特に複数の項目に当てはまる場合は、速やかに水分補給を行い、可能性があれば医療機関に相談することが重要です。

脱水症のチェックリスト

1.口の乾きや喉の渇きは、最も一般的な脱水症のサインです。しかし、口が渇くと感じた時には、既に軽度の脱水症状が出ている可能性があります。
2.脱水症になると尿の色が濃くなり、尿の量も少なくなります。
3.脱水症は全身の疲労感を引き起こし、疲れやすくなります。
4.脱水症は頭痛を引き起こすことがあります。特に、運動後や活動中に頭痛が起きる場合は注意が必要です。
5.肌を軽くつまむとすぐ元に戻るはずですが、すぐに戻らない場合や遅い場合には、脱水症のサインである可能性があります。
6.便通が悪い、硬い便が続く場合は、脱水症の可能性があります。
7.重度の脱水症になると、目が乾燥したり、目がくぼんだりすることがあります。
8.脱水症は血圧の低下を引き起こす場合があり、立ちくらみやめまいの原因になることがあります。

脱水症になりやすい人とは?

脱水症になりやすい人とは

脱水症は、乳幼児や高齢者がなりやすいとされています。また、スポーツやトレーニングなどで激しい運動をしている人、炎天下の中で長時間の練習をしている人は、脱水症のリスクが高くなります。

高齢者や認知症患者

年齢と共に腎機能が低下し、喉の渇きを感じにくくなるため、高齢者は脱水症になりやすいです。さらに、認知症などの疾患を抱えている高齢者は、自発的な水分摂取が減るため、脱水症になりやすいです。

乳幼児・子供

乳幼児は体重比での水分需要が大人より高く、高熱や下痢などの小児疾患で水分を大量に失うため、脱水症になりやすいです。

慢性疾患を持つ人

心疾患、肝疾患、腎疾患、糖尿病などの慢性疾患を持つ人は、体の水分バランスを維持する能力が低下しているため、脱水症になりやすいです。

激しい運動を行う人

激しい運動による大量の発汗は、体から水分を大量に排出します。特に高温多湿の環境での運動は、脱水症になりやすいです。

特定の薬を服用している人

利尿薬など、体の水分を排出する薬物を服用している人は脱水症になりやすいです。

脱水症の予防方法とは?

脱水症の予防方法

脱水症の予防には、十分な水分補給と塩分摂取が重要です。適切な脱水症対策を行うことで、脱水症を予防することが可能です。

ただ、高齢者や乳幼児、慢性疾患を持つ人などは、自分で適切な量の水分を摂取することが困難な人もいますので、周囲の人のサポートも重要となります。

十分な水分補給

体の水分が不足しないように、日常的に十分な量の水分を摂取することが重要です。運動や暑い環境下での作業を行う際は、こまめな水分補給が必要です。

適度な塩分摂取

汗を大量にかいた場合や下痢、嘔吐があった場合は、水分だけでなく電解質(ナトリウム)も失われます。そのため、適度な量の塩分を摂取することも重要です。

適切な服装

暑い環境での活動時は、涼しい服装を心掛け、頻繁に休憩を取りながら活動を行うことで、過度な発汗を防ぎます。

アルコールやカフェインの摂取量を減らす

アルコールやカフェインは利尿作用があり、体から水分を奪う可能性があります。適度な量に抑え、加えて十分な水分を摂取することが重要です。

体調の管理

風邪や胃腸炎などの病気が原因で、脱水症になることがあります。手洗いや食事の衛生管理など、病気を予防する基本的な対策を行いましょう。

1日に必要な水分量は?

1日に必要な水分量

1日に必要な水分量は、個々の体重、年齢や性別、身体活動量、気温などによって変わりますが、一般的に成人に必要な水分量は1日2リットル~2.5リットルと考えられます。

1日2リットルの水を飲むのは正しい?

健康やダイエットのために、1日2リットルの水を飲むのが良いと言われていますが、実際には水を1日2リットル以上飲むことは、適切とは言えません。

確かに、人間が生きていくためには1日2リットル~2.5リットルの水分が必要です。しかし、1日2リットル~2.5リットルという数字は、1日に必要な全ての水分量という意味になりますので、水分補給だけで1日2リットルは飲み過ぎなのです。

食事から摂取できる水分量は?

1日の食事から摂取できる水分量は、おおよそ1リットル~1.5リットルとされています。そのため、毎日普通に食事をしていれば、1日に必要な水分量の半分を食事から得られるということになります。

1日の適切な水分補給としては、1リットル~1.5リットル程度と言えるでしょう。

脱水症と熱中症の違い

脱水症と熱中症の違い

脱水症と熱中症の違いは、脱水症は身体の水分と電解質のバランスの問題で、熱中症は高温環境下での身体の熱調節の失敗であり、その結果として脱水症状を引き起こすことが多いという違いがあります。

脱水症も熱中症の状態も重篤で、適切な予防と早期の対策が大切です。
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脱水症の特徴

脱水症は、体が必要とする水分や塩分などの電解質が不足し、バランスが崩れる状態を指します。脱水症は高温や運動による過度の発汗、病気による嘔吐や下痢、適切な水分補給がなされないなど、様々な状況により引き起こされます。

熱中症の特徴

熱中症は、特に高温環境下での身体の熱調節機能の失敗により起こります。主に体温の上昇と脱水症状により特徴付けられ、頭痛、めまい、吐き気、意識障害などを引き起こします。熱中症や熱射病の重篤な場合は、意識消失や昏睡状態、最悪の場合は死に至ることもあります。

脱水症の治し方や対処法とは?

脱水症の治し方や対処法

脱水症の治し方や対処法は、症状の重度によります。軽度から中度の脱水症の場合は、水分補給や塩分摂取などの方法で対処することが可能です。

水分を補給する

脱水症の一番の対策は水分補給です。また、水だけではなく、電解質も補給する必要があります。市販のスポーツドリンクや経口補水液(ORS)が利用できます。

電解質を補給する

脱水症は体内の水分だけではなく、塩分などの電解質も失われます。そのため、スポーツドリンクや経口補水液(ORS)など、電解質が補えるものを飲むことが推奨されます。

休息・安静にする

身体に余計な負荷をかけないように、安静にすることも重要です。

適度な食事をとる

脱水症によって体が弱っている場合、食事からの水分補給だけでなく、必要な栄養素も摂取しましょう。乾燥した食事よりも水分の多い食事を選ぶと良いです。

脱水症の治療方法とは?

脱水症の治療方法

脱水症の治療方法は、その程度や原因によりますが、いずれの場合も脱水症の症状が見られたら、すぐに対応することが重要です。特に乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人は脱水症により重篤な状態になりやすいため注意が必要です。

軽度から中度の脱水症の治療

軽度から中度の脱水症の段階では、口から水分を補給することが最も一般的な治療方法です。軽度から中度の脱水症には水分だけでなく、電解質も補給することが重要で、経口補水液(ORS)が適しています。また、食事からも水分と栄養素を補給します。

重度の脱水症の治療

重度の脱水症の段階では、経口補水だけではなく、医療機関での治療が必要となります。通常は点滴により水分と電解質を補給します。点滴による補水は、迅速に体液を補給でき、消化器系の問題により経口補水が難しい場合にも有用です。

脱水症の原因の治療

脱水症の原因となる熱中症、感染症、慢性疾患などの疾患の治療を行います。脱水症の再発を防ぐために重要です。