
ぎっくり腰とは、突然激しい腰痛が起こり、立ち上がることさえ困難になる状態を指す言葉です。急性腰痛症、びっくり腰とも言います。
ぎっくり腰は、重い物を持ち上げるなどの身体の動きによって引き起こされます。また、咳やくしゃみ、朝ベッドから起き上がる時、顔を洗う時、ゴルフや野球、テニスなどの運動をした時に、グキッと強烈な痛みに襲われることもあります。
腰痛の原因は?腰が痛くなる病気は?内臓からくる腰痛の症状
ぎっくり腰の初期症状は?ぎっくり腰のセルフチェック
ぎっくり腰の初期症状は、急激な痛みと動きの制限です。特にぎっくり腰になった数時間~1日程度は、普通に動くことも困難になります。
ぎっくり腰の症状が現れた場合は、できるだけ安静にし、痛みが強い場合や長引く時は医療専門家に相談することが重要です。また、慢性的な腰痛が続くことがあり、その場合も医療専門家の助けを求めるほうが良いでしょう。
急激な腰痛
ぎっくり腰の一番明確な初期症状は、腰部に急激な痛みが走ることです。重いものを持ち上げる、身体をひねる、立ち上がる、座る、咳をするなどの動作をした時に、突然痛みが発生します。
動きにくさ
ぎっくり腰になると、腰部の動きが制限され、立ち上がる、歩く、身体をひねるなどが困難になることがあります。
姿勢の変化
ぎっくり腰は痛みを軽減しようと、無意識に姿勢を変えることがあります。これはしばしば不自然な姿勢となり、身体が一方向に曲がって見えることがあります。
ぎっくり腰のチェックリスト
下記の症状のうち、一つでも該当する場合には、ぎっくり腰の可能性があると考えられます。
1.重いものを持ち上げる、急に体をねじるなどの動作をした後、あるいは何もしていないのに急に腰痛が始まったか。
2.立ち上がる、座る、曲がるなどの動作が困難になったか。
3.特定の動作、特に咳、くしゃみ、重いものを持ち上げるなどをした時に腰痛が悪化するか。
4.腰痛のせいで正常に歩けないか。
5.痛みが数日間持続しているか。
ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違い
ぎっくり腰と椎間板ヘルニアは、共に腰痛を引き起こす病状ですが、原因や症状にはいくつかの違いがあります。
また、ヘルニアの人が特定の動作を行った結果として、ぎっくり腰を発症することがあります。ぎっくり腰の痛みが持続する場合、それは背後にヘルニアや他の脊椎の問題が存在する可能性を示すこともあります。
ぎっくり腰の違い
ぎっくり腰は、腰部の筋肉や靭帯が過度にストレスを受けたり、突然の動きによって引き起こされる一時的な筋肉の痙攣や緊張が主な原因です。ぎっくり腰は急性の腰痛を引き起こし、特定の動きをした時に突然痛みが発生します。ぎっくり腰は自己管理や保存的な治療で改善します。
椎間板ヘルニアの違い
椎間板ヘルニアは、脊椎の間にある椎間板が破れて中のゲル状物質が漏れ出し、脊髄や神経根に圧力をかける状態を指します。この圧迫が原因で、痛みやしびれ、弱さなどの神経症状を引き起こします。
ヘルニアの痛みは下肢(特に一方の足)に放散します。この状態は自己管理や保存的な治療で改善しますが、重症の場合や症状が長期間持続する場合には、外科的治療が必要となることもあります。
ぎっくり腰の原因とは?
ぎっくり腰になる多くの原因は、身体の急な動きによるものです。たとえば、急に重いものを持ちあげようとする、顔を洗うために急に腰を曲げる、何か物を取ろうとして急に体をねじるなど、普段やらないような動作をいきなりすることで、グキッとぎっくり腰になる傾向があります。
不適切な体の動き
体を急にねじる動きや重いものを不適切な姿勢で持ち上げる動きは、腰部の筋肉に過度な負荷をかけ、筋肉を痛める可能性があります。これがぎっくり腰の一般的な原因です。
筋力不足
腰部や腹部の筋肉が弱い場合、腰に不必要な負荷がかかりやすくなります。これもぎっくり腰を引き起こす要因の一つです。
過度の疲労
筋肉が過度に疲労していると、筋肉が正常に機能せず、腰痛を引き起こす可能性があります。
肥満による原因
体重が重いと、腰に余計な負荷がかかり、ぎっくり腰のリスクが増加します。
加齢による原因
年齢と共に筋力が低下し、腰部の筋肉や骨が弱くなることも、ぎっくり腰を引き起こしやすくします。
ぎっくり腰の前兆や予兆は?
ぎっくり腰は、その名前が示すように、通常は突然起こる症状です。しかし、一部の人は発症前にいくつかの予兆や前兆を感じることがあります。
下記のような予兆や前兆がある場合でも、必ずしもぎっくり腰に発展するわけではありません。ただし、これらの症状が現れた場合は、身体の信号に注意を払うことが重要です。可能な限り重い物の持ち上げを避け、腰に負担をかける動作を控えるなど、予防策を講じることが推奨されます。
腰部の違和感や張り
ぎっくり腰の発症前に、腰部に軽度の不快感や張り感を感じることがあります。
筋肉の緊張やこわばり
腰周辺の筋肉が緊張し、こわばりを感じることもあります。
腰部の軽度の痛み
発症前に腰部に軽度の痛みを感じることがある人もいます。
軽度のぎっくり腰の症状は?
軽度のぎっくり腰の症状は、軽い痛みや腰を曲げるのが若干制限される特徴があります。軽度のぎっくり腰であれば、自己管理で症状は改善し、通常1週間~2週間で完全に回復することが多いです。
軽い腰痛
腰の一部に軽度から中程度の痛みがあり、特に立ち上がったり、座ったり、曲がったりする時に感じられます。
運動制限
腰の運動が若干制限され、特に前方への屈曲(体を前に曲げる)が困難になることがあります。
筋肉の緊張
腰部の筋肉が固く感じられることがあります。
姿勢の変化
痛みを避けるために、身体が自然に一方に傾く側弯症姿勢を取ることがあります。
ぎっくり腰になりやすい人の特徴は?
ぎっくり腰になりやすいとされる人は、年齢が40歳以上で運動不足の人や太っている人という特徴があります。また、力仕事などの腰に負担がかかる作業をしている人、同じ姿勢で長時間仕事をしている人なども、ぎっくり腰になりやすい人と言えるでしょう。
なりやすい特徴を持つ人は、特にぎっくり腰の予防策に注意を払うことが重要です。
年齢が40歳以上の人
年齢と共に筋肉や骨格系の強度が低下し、腰痛のリスクが増えます。一般的に、40歳以上の人がぎっくり腰を経験するリスクが高くなります。
太っている人や肥満の人
体重が増えると、脊椎に余計なストレスがかかり、ぎっくり腰のリスクが増えます。
運動不足の人
適度な運動が不足すると、腰を支える筋肉が弱くなり、ぎっくり腰のリスクが増えます。
仕事で物を持ち上げる作業をする人
肉体労働者や重いものを頻繁に持ち上げる作業をする人は、ぎっくり腰のリスクが高くなります。
姿勢が悪い人や同じ姿勢で仕事をする人
長時間座ったり立ったりする仕事、又は姿勢が悪い状態での作業は、腰部に余計なストレスをかけ、ぎっくり腰のリスクを増加させます。
普段からストレスを感じている人
ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、それがぎっくり腰のリスクを高めます。
ぎっくり腰を予防するには?
ぎっくり腰の予防方法は、腰に負担をかけないことです。急な動きはせずに、ゆっくりと動かすことが重要です。また、腰を曲げるのではなく、膝を使って動くことも大切です。普段から筋トレやストレッチを行うことで、ぎっくり腰を予防することも可能です。
ラジオ体操の効果は?ダイエットや注意点、メリットやデメリット
腰に負担をかけない体の動き
重いものを持ち上げる時は、腰を曲げるのではなく、膝を曲げて力を入れるようにしましょう。物を運ぶ時は、体の近くに保ち、体をねじる動作は避けましょう。
筋力トレーニングとストレッチ
腰部や腹部の筋力を強化する適切なエクササイズを行うことで、腰への負担を軽減し、ぎっくり腰のリスクを減らすことができます。また、定期的にストレッチを行うことで筋肉の柔軟性を保つことも重要です。
筋トレとは?筋力トレーニングの効果やメリット・デメリット
肥満解消・健康的な体重維持
肥満は腰への負担を増加させ、ぎっくり腰のリスクを高めます。適切な食事と運動により、健康的な体重を維持しましょう。
正しい姿勢を維持する
立っている時や座っている時、寝ている時など、日常生活の全ての瞬間で良好な姿勢や正しい姿勢を維持することが重要です。これは腰への負担を軽減し、ぎっくり腰を予防する助けとなります。
ストレス解消・ストレス管理
ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、ぎっくり腰のリスクを増加させる可能性があります。深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーションテクニックを習得し、ストレスを適切に管理することも重要です。
ぎっくり腰で腰が痛い時にやってはいけないこと
ぎっくり腰が起きた時は、無理な運動や同じ姿勢は避けたほうが良いでしょう。また、急な動きやねじりなど、腰に負担がかかる動作もやってはいけないことの1つです。
無理な運動
痛みが発生した直後は、無理に運動を続けることは避けましょう。痛みを無視して運動を続けると、症状を悪化させる可能性があります。
重い物を持つ
ぎっくり腰が起きた時に重い物を持ち上げると、腰部の痛みを増幅させる可能性があります。腰痛が和らぐまでは重いものを持つのは避けましょう。
長時間の同じ姿勢
同じ姿勢を長時間続けることは腰部の筋肉に負担をかけ、痛みを悪化させる可能性があります。立っている、座っている、横になっている時でも、定期的に体勢を変えることが重要です。
急な運動やねじり動作
急な動きやねじり動作は腰部に負担をかけ、痛みを増幅させる可能性があります。なるべくゆっくりと、スムーズな動作を心がけましょう。
長時間の安静
初期の数時間~数日間は適度な安静が必要ですが、長時間ベッドで横になり続けると筋肉が硬くなり、回復が遅れる可能性があります。痛みが許す範囲で、軽い活動を行うことを心がけましょう。
ぎっくり腰は何日で治る?何日で歩けるようになる?
ぎっくり腰の回復期間は個々の状態や体の回復力にもよりますが、適切な治療と休息を行うことで、10日間~3週間程度で症状が軽減します。ぎっくり腰の強い痛みは、3日~1週間程度で徐々に収まりますので、ぎっくり腰になったら最低でも3日間は安静にすることが重要です。
ただし、一部の人は痛みが数ヶ月間続くこともあります。これは慢性腰痛となり、より専門的な治療を必要とする場合があります。
ぎっくり腰は何日目が1番辛い?
ぎっくり腰の症状や重症度は人によって大きく異なりますが、一般的には発症直後の数時間~数日間が最も痛みが強く、動きが制限されることが多いです。しかし、多くの人は1週間以内で通常の歩行が可能になります。
軽いぎっくり腰であれば、そこまで強烈な痛みはありませんので、発症当日から体を動かすことも可能です。
ぎっくり腰の治し方や治療方法は?
ぎっくり腰になったら、まずは安静にすることです。最初の数時間~数日はあまりの痛さに動けない場合もありますが、動けるようなら徐々に動かすほうが早く回復します。ぎっくり腰になると、1日中ベットの上で動かないイメージがありますが、ゆっくりでも体を動かすほうが早く治ると言われています。
ぎっくり腰の直後は安静にする
ぎっくり腰が起きた直後は、適度な安静を取ることが重要です。しかし、長時間ベッドで横になるのではなく、適度に動き回ることが推奨されます。適度な活動は、筋肉の硬直を防ぎ、血液循環を促進します。
冷却と温熱療法
ぎっくり腰の初期の段階では、腰に冷たいアイシングパックを適用することで、炎症と痛みを和らげることができます。その後は、痛みのある部位に温熱パックを適用することで血流を促進し、筋肉のリラクゼーションと痛みの軽減を助けます。
姿勢の改善
日常生活の姿勢を改善することも重要です。これには適切な座り方、立ち方、寝方が含まれます。
理学療法
理学療法士による指導の下で、腰部や腹部の筋肉を強化し、筋肉のバランスを改善するエクササイズを行うことが有効です。これはぎっくり腰の再発を防ぐためにも重要です。
薬物療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を用いて痛みを緩和することができます。ただし、これらの薬は副作用があるため、長期間の使用や高用量の使用は避けるべきです。
ぎっくり腰を1日でも早く治す方法とは?
ぎっくり腰は、発症から数時間~数日が痛みのピークで、徐々に痛みが和らいでいく特徴があります。ぎっくり腰を1日でも早く治すには、適度に動かすこととアイシングで患部を冷やし、その後に湿布で温めるのが効果的です。
患部を冷やして適度に体を動かす
痛みが強い時は安静にしましょう。しかし、完全に動かないのではなく、痛みが許す範囲での軽い活動を行うと、筋肉の硬直を防ぎ、血液循環を促進します。最初はゆっくりとしたストレッチがおすすめです。
また、発症直後は氷枕などで腰を冷やすことが重要です。患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることが可能です。
ただ、ぎっくり腰は1日、2日で治るものではありませんので、最初の数日~1週間程度は安静にすることが大切です。ぎっくり腰を繰り返さないためにも、普段から柔軟体操や適度な運動を心がけましょう。
ぎっくり腰は病院に行った方がいい?
ぎっくり腰は、一般的に自分で改善できるもの、自然に治るものとなりますので、ぎっくり腰になったからといって、すぐに病院に行く必要はありません。ただ、以下の症状がある場合には医療専門家に相談し、必要ならば病院へ行くことを推奨します。
痛みの強さ
痛みが強くて日常生活に支障をきたす場合や自己管理で痛みが緩和できない場合
症状の持続
症状が2週間~3週間以上続く場合、又は症状が何週間も改善しない場合
神経症状
足の痛み、しびれ、弱さ、又は排尿・排便のコントロールができないなど、神経症状が伴う場合
発熱や体重減少などの症状
腰痛に加えて発熱、体重減少、夜間の痛み、過去の重病(癌など)の既往歴がある場合