
熱中症とは、暑さによって体温調節がうまく機能しなくなり、体温が上昇することによって生じる健康障害です。これは、暑い環境下での運動や活動による発汗が過剰になり、水分や塩分の補給が追いつかなくなることで起こります。
熱中症は軽度から重度まで様々な症状を引き起こし、最悪の場合は命に関わることもあります。
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熱中症になりやすい人の特徴とは?
熱中症は、子供や高齢者、持病がある人が熱中症になりやすいとされています。また、運動不足の人や太っている人は体温調節がうまく働かず、他の人よりも熱中症になりやすくなります。
熱中症になりやすい人は、暑い環境下での活動時には十分な水分補給と休憩を取ることや適切な服装を心がけることが重要です。
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高齢者
加齢により体温調節機能が低下し、発汗機能が弱まるため、熱中症になりやすくなります。また、慢性疾患を持っていることや薬の副作用も熱中症リスクを高めます。
幼児・小児
体温調節機能が未熟で、大人に比べて発汗機能が劣っているため、熱中症になりやすくなります。また、自分で水分補給を適切に行えないこともリスクを高めます。
持病がある人
心臓病や高血圧、糖尿病、腎臓病などの持病がある人は、体温調節機能に影響があるため、熱中症になりやすくなります。
薬の副作用がある人
利尿剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ剤など、体温調節機能や発汗機能に影響を与える薬を服用している人は熱中症リスクが高まります。
肥満の人・過体重の人
体脂肪が多いと体温調節がうまくいかず、発汗機能も悪化するため、熱中症になりやすくなります。
運動習慣のない人・運動不足の人
運動習慣がない人は、急に激しい運動を行うと体温調節機能が追いつかず、熱中症になりやすくなります。
熱中症になりやすい職業とは?
熱中症になりやすい職業は、主に暑い環境下で働かなければならない仕事や長時間の屋外活動が必要な職種です。
屋外での作業が多い場合は、熱中症対策として十分な水分補給や適切な休憩、通気性の良い服装、適切な環境整備などを行い、熱中症を予防することが重要です。また、職場での熱中症対策について、従業員同士で情報共有や相互サポートを行うことも大切です。
建設業
建築現場や道路工事、ガードマンなど、屋外での作業が多いため、熱中症になりやすい環境です。
農業
農作業は屋外で行われることが多く、特に夏場は熱中症のリスクが高まります。
造園業
公園や庭園の手入れなど、屋外での作業となるため、熱中症になりやすい職種です。
運送業
トラックの運転手など、長時間の運転や荷物の積み下ろしなどで熱中症になりやすい状況があります。
配達業
郵便配達員や宅配業者は屋外での配達が多くなりますので、夏場は熱中症のリスクが高まります。
屋外イベントスタッフ
野外フェスやスポーツイベントなどの運営スタッフは、長時間屋外で働くことが多く、熱中症になりやすい仕事です。
工場内の作業員
工場内が高温になる場合や溶接や鋳造などの熱を発する作業がある場合、熱中症になりやすい環境です。
熱中症の初期症状は?
熱中症の初期症状には個人差がありますので、その人によって異なりますが、倦怠感や脱力感、のぼせや吐き気などの症状が現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、速やかに涼しい場所で休息し、水分や塩分を適切に補給することが大切です。症状が悪化したり改善しない場合には、医療機関を受診することをおすすめします。
頭痛やのぼせ
軽度の頭痛が生じることがあります。また、顔が赤くなり、めまいが起こることがあります。
脱力感や倦怠感
全身の力が抜けるような感覚が生じることがあります。また、疲れやすくなり、体が重く感じることがあります。
吐き気や食欲不振
胃の不快感や吐き気が生じることがあります。また、食欲が減退することがあります。
喉の渇き
経口補水をしても口が渇くことがあります。
熱中症の自覚症状は?
熱中症の自覚症状には個人差がありますが、熱中症によって脱水状態になると喉が渇きます。体温が上昇し、血管が拡張することで頭痛が起こることがあります。脱水や低血糖状態により、めまいを感じたり、立ち上がった際に血圧の変化で立ちくらみが起こることもあります。
吐き気を感じたり、筋肉痛を感じることもあります。体内の水分不足により、末梢の血流が低下し、手足が冷たく感じたり、発汗が異常に多くなることや逆に全く発汗しなくなることもあります。
これらの自覚症状が現れた場合、熱中症の初期症状である可能性があります。症状が軽度であれば、水分や塩分補給、休憩、冷却対策を行うことで、熱中症の重症化を防ぐことが可能です。
熱中症は何日で治る?
熱中症の回復期間は、その重症度や個人差によって異なります。軽度の熱中症であれば、適切な水分・塩分補給と休息を取ることで、数時間から1日程度で回復することが一般的です。
しかし、症状が重度である場合、特に熱射病のような重篤な状態では救急治療が必要であり、回復に数日から数週間かかることもあります。最悪の場合、命に関わることもあるため、早期の対応が重要です。
熱中症になったらどこを冷やす?
熱中症になった場合は、まずは涼しい場所で休息し、水分と塩分を適切に摂取することが重要です。その上で、体温を下げるために、首の後ろや脇の下などの部位を冷やすことが効果的です。
冷やす際は、氷や冷たい水をタオルやウェットティッシュに包んで直接皮膚に触れさせることで、冷却効果を高めることができます。ただし、氷を直接皮膚に当てると凍傷を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
首の後ろを冷やす
頸動脈は首の後ろにあり、冷やすことで血液を効果的に冷却し、体全体の温度を下げることができます。
脇の下を冷やす
大きな血管が集まっているため、冷やすことで効果的に体温を下げることができます。
肘の内側を冷やす
血管が皮膚に近いため、ここを冷やすことで体温を下げることができます。
膝の裏を冷やす
こちらも血管が皮膚に近いため、冷やすことで体温を下げることができます。
熱中症におすすめの飲み物は?
熱中症対策に良い飲み物は、水分補給と同時に失われた電解質(特にナトリウム)も補給できるものが適しています。
ただし、アルコールやカフェインが多く含まれる飲み物は利尿作用が強く、脱水状態を悪化させるため、避けることが望ましいです。また、砂糖やカロリーが高い飲料も、適量を超えると健康に悪影響を及ぼすことがありますので、摂取量に注意が必要です。
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水・ミネラルウォーター
最もシンプルで無難な選択です。ただし、大量に発汗した場合は、単に水だけでは電解質の補給が十分でないことがあります。
スポーツドリンク
ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質と糖分が含まれており、水分補給と同時に塩分も摂取できるため、熱中症対策に適しています。
塩分を含む飲料
塩分を加えたレモネードなど、塩分が多少含まれた飲料も熱中症対策に効果的です。
ココナッツウォーター
天然の電解質が豊富に含まれており、熱中症対策に適した飲み物です。
冷たいお茶
緑茶やウーロン茶などの無糖のお茶も水分補給に適しています。ただし、カフェインが利尿作用をもたらすことがあるため、適度な摂取を心がけましょう。
熱中症の原因は?
熱中症の主な原因は、高温・多湿な環境下での活動や運動によって体温が上昇し、体内で生じる熱を適切に放散できなくなることです。
高温・多湿な環境
気温が高く湿度も高い環境では、体が熱を放散しにくくなります。特に直射日光が強い場所や風通しの悪い場所での活動はリスクが高まります。
激しい運動や労働
激しい運動や労働を行うと、筋肉が発する熱で体温が上昇し、熱中症のリスクが高まります。また、運動習慣がない人が急に激しい運動を行うと体温調節機能が追いつかず、熱中症になりやすくなります。
水分不足・塩分不足
適切な水分・塩分の補給を行わないと脱水状態になり、発汗や体温調節機能が低下します。
厚着や通気性の悪い服装
暑い環境下で厚着をしていたり、通気性の悪い服を着ると体が熱を放散しにくくなり、熱中症になりやすくなります。
アルコールの摂取
アルコールは利尿作用があり、脱水状態を悪化させることがあります。
熱中症のチェック方法
熱中症の症状をチェックする方法はいくつかあります。これらのチェック方法を用いて熱中症の症状を確認し、必要に応じて水分・塩分補給、休憩、冷却対策を行います。
自覚症状の確認
自分自身や周囲の人が熱中症の初期症状を感じているかどうか確認します。たとえば、喉の渇き、頭痛、めまい、立ちくらみ、吐き気、筋肉痛、手足の冷たさなどが挙げられます。
熱中症の兆候の観察
熱中症の兆候となる様子を観察します。たとえば、顔色が悪くなっている、汗をかいている量が異常に多い・少ない、呼吸が速くなっている、意識がもうろうとしているなどの状態があります。
体温の測定
熱中症の症状が疑われる場合、体温を測ることが重要です。体温計を使って耳や口、脇の下などで測定し、37.5℃以上であれば注意が必要です。特に40℃近くに達している場合は重症の熱中症(熱射病)の可能性があり、すぐに救急車を呼ぶなどの緊急の対応が必要です。
熱中症を予防するには?効果的な熱中症対策とは?
熱中症対策は、水分補給や塩分補給、こまめな休息や涼しい場所での活動などが有効です。逆に、炎天下の中で水分や塩分の補給をせず、何時間にも渡って激しい運動をするのは非常に危険です。特に高齢者や子供は熱中症のリスクが高くなりますので、注意が必要です。
水分・塩分補給
定期的に水分を摂取し、適度な塩分も含めて補給することが重要です。スポーツドリンクや塩分を含む飲料、ココナッツウォーターなどが効果的です。
こまめな休憩を取る
暑い環境下での活動や運動を行う場合は、こまめに休憩を取り、体に負荷をかけないように心がけましょう。
涼しい場所での活動
暑い日は外での活動を避け、できるだけ涼しい場所で過ごすことが望ましいです。また、直射日光が強い場所での活動は避けましょう。
通気性の良い服装
通気性の良い、吸汗速乾性のある服を着用し、体が熱を放散しやすいようにしましょう。また、帽子や日傘などを利用して直射日光を遮ることも有効です。
エアコンや扇風機の利用
室内ではエアコンや扇風機を利用して、適切な室温と湿度を維持しましょう。
アルコールやカフェインの摂取を控える
利尿作用が強いアルコールやカフェインの摂取は脱水状態を悪化させることがあるため、暑い環境下では控えましょう。
高齢者や子供へのサポート
熱中症になりやすい高齢者や子供に対しても、水分補給や休憩の確保などの対策を行い、サポートをしましょう。