低血糖とは

低血糖とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度が、正常値よりも低下した状態を指します。低血糖は食事から得られるエネルギーが不足しているか、インスリンなどのホルモンの働きが過剰であるために起こります。

低血糖の症状には、手の震え、ほてり、冷や汗、頭痛、イライラ、混乱などがあります。重症化すると、意識障害やけいれんを起こすこともあります。

低血糖は、特に糖尿病患者がインスリン治療や経口糖尿病薬を使用している場合によく見られます。インスリンやこれらの薬は血糖を下げる効果があるため、適切な食事量や時間を誤ると、血糖が過剰に低下する可能性があります。
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低血糖の特徴や初期症状

低血糖の特徴や初期症状

低血糖の初期症状は、血糖値が低下すると体がエネルギーの不足を警告する一連の反応です。初期症状は人により異なりますが、一般的に手の震えや冷や汗、動悸や疲労感などがあります。

低血糖の症状は、すぐに現れることもありますが、症状が現れないまま血糖値が低下する無症候性低血糖を経験する人もいます。無自覚な低血糖は、特に長期間に渡る糖尿病患者に見られ、注意深く自己モニタリングが必要です。

震えや手足の冷たさ

震えや手足の冷たさは、アドレナリンの放出によるもので、エネルギーを迅速に補充するための反応です。

急な空腹感

空腹感は体がエネルギー補充を求めるために引き起こされます。

冷や汗や動悸

冷や汗もアドレナリンの放出による反応で、エネルギー補給のサインとして現れます。また、心拍数が増加する動悸の症状についても、エネルギーを迅速に補充するための反応です。

疲労感

体内のエネルギーが不足しているため、一般的な疲労感を感じることがあります。

不安やイライラ感

脳が十分なエネルギーを得られないと、不安感やイライラ感など、気分の変動を引き起こすことがあります。

低血糖のセルフチェック方法

低血糖のセルフチェック方法

低血糖のセルフチェックやチェックリストは、低血糖の可能性を早期に認識し、適切な対策を取るためのツールです。以下に一般的なチェックリストを示しますが、具体的な症状やその程度は個々の状況や体質により異なるため、不確かな場合や低血糖が疑われる場合は医療専門家に相談してください。

身体的な症状のチェックリスト

・冷や汗や手足の震えを感じる
・急に空腹を感じる
・疲労感が強い
・動悸がある
・ほてりがある

精神的症状や認知的症状のチェックリスト

・不安感やイライラ感が強い
・混乱している感じがする
・会話が難しい、言葉を見つけるのが難しい
・集中力が低下している
・複視や視界がぼやける

重度の低血糖症状のチェックリスト

・けいれんが起きる
・意識が無くなる、もしくは昏睡状態になる

生活習慣や行動のチェックリスト

・最近、食事を抜いたり、食事の量を減らした
・普段よりも運動量が多かった
・糖尿病の薬(インスリン)の投与量を誤った

上記のチェックリストのいくつかに該当する場合、低血糖の可能性があります。低血糖の初期症状を感じた時は、すぐに高糖質の飲食物を摂取することを推奨します。また、糖尿病患者の場合、定期的に血糖値を測定することも重要です。

尚、重度の低血糖症状を感じた場合、又は自分で血糖値を上げることができない場合は、直ちに医療専門家に連絡してください。

低血糖になりやすい人の特徴とは?

低血糖になりやすい人の特徴

低血糖は誰でも経験する可能性がありますが、特定の状況や条件に該当する人は、特に低血糖を経験しやすい傾向にあります。

また、糖尿病でなくても低血糖になる可能性はあります。低血糖は、体内の血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が低下した状態を指し、その原因は糖尿病だけではありません。そのため、糖尿病ではない健康な人でも低血糖になる場合があります。

糖尿病の治療をしている人

糖尿病の治療として、インスリンや経口血糖降下薬を使用している人は、適切な血糖管理が行われていない場合、低血糖を経験しやすいです。血糖値を下げる薬の量やタイミング、食事の摂取量やタイミング、運動量といった要素が複雑に絡み合い、血糖値の急激な下降を引き起こすことがあります。

慢性的に食事が不規則な人

食事を摂らない、又は摂取するカロリーが不足していると、体が必要とするエネルギーが不足し、低血糖を引き起こす可能性があります。

過度に運動をする人

適度な運動は健康に良いですが、過度に運動すると筋肉がブドウ糖を大量に消費し、その結果、血糖値が急激に下がることがあります。

アルコールを過度に摂取する人

アルコールは肝臓の機能を阻害し、血糖値を維持するために必要なブドウ糖(グルコース)の生成を遅らせ、低血糖を引き起こす場合があります。

特定の病状や状態を持つ人

肝臓の病気、腎臓の病気、膵臓の病気、ホルモン異常など、特定の医療状況にある人は低血糖になりやすいです。

低血糖の症状とは?

低血糖の症状

低血糖症の症状は、個々の体質や低血糖の程度によりますが、手足の震えは集中力の低下、頭痛やめまい、視野がぼやけるといった症状が一般的です。また、低血糖が重度になると、意識がなくなり、体の痙攣や昏睡状態に陥ることもあります。

低血糖の症状は、脳と身体が十分なエネルギーを得られない時に起こります。低血糖の初期症状を感じた場合には、すぐに糖分を含む食べ物や飲み物を摂取することで、血糖値を上げることが推奨されます。
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身体的な症状

・冷や汗や手足の震え
・急に空腹を感じる
・疲労感、顔色が悪い、ほてり
・動悸(心拍数の増加)

精神的・認知的な症状

・不安やイライラ感
・混乱、意識がもうろうとする
・集中力の低下、言葉が出ない
・頭痛、めまい、視野がぼやける

重度の低血糖の症状

・痙攣や意識の喪失
・身体的、又は精神的な機能障害
・昏睡状態に陥る

低血糖を調べる方法は?

低血糖を調べる方法

低血糖を調べる最も一般的な方法は、血糖値の測定です。家庭で簡単に測定できる血糖測定器が広く利用されています。

下記の手順を踏むことで、自宅で簡単に血糖値をチェックすることができます。低血糖の症状が現れた場合や糖尿病の治療を受けている方は、定期的に血糖値をチェックすることが重要です。

血糖測定器の使い方

1.測定器に試験紙、又はテストストリップをセットします。
2.手指の先端を専用のランセットで刺し、少量の血液を出します。
3.出た血液を試験紙、又はまたはテストストリップに触れさせます。
4.血糖測定器が血糖値を表示します。

低血糖の予防や対処法は?

低血糖の予防や対処法

低血糖を予防するには、主に食事や運動、必要に応じて薬物療法が重要となります。特に食事による管理や血糖値の定期的なチェックを行うことで、血糖値を管理することができるようになります。

適切な食事管理

血糖値は食事の質と量、及び食事のタイミングに大きく影響されます。定期的にバランスの良い食事を摂ること、特に炭水化物を含む食品の摂取量とタイミングに注意することが重要です。

適度な運動

運動は血糖値を下げる効果がありますが、過度な運動は血糖値を急激に下げ、低血糖を引き起こす可能性があります。適度な運動を心掛け、運動前後の食事や血糖値の管理に注意することが重要です。

血糖値の定期的なチェック

血糖値の定期的な自己測定は血糖値の変動を理解し、適切な対策を講じる上で有用です。特に、糖尿病の人やインスリンを使用している人は、食前や就寝前、運動前後などに血糖値を測定することが推奨されます。

アルコールの摂取に注意する

アルコールは血糖値を下げる効果があります。飲酒する場合は、空腹時の飲酒を避け、食事と一緒に摂取するようにしましょう。

必要に応じた薬物療法の管理

特に、インスリンや経口血糖降下薬などの糖尿病の治療薬を使用している場合、薬の種類や用量、服用のタイミングが血糖値に大きく影響します。医師や薬剤師と良好なコミュニケーションを保ち、適切な薬物療法を行うことが重要です。

低血糖の原因とは?

低血糖の原因

低血糖と呼ばれる血糖値が異常に低い状態の原因は、糖分の摂取不足やアルコールの摂取があります。また、糖尿病の治療を行っている場合、肝臓や腎臓などの病気を抱えている人は、低血糖を引き起こす場合があります。

糖尿病の治療による原因

インスリンや血糖を下げる薬を使用している場合、その効果が強すぎると低血糖を引き起こす可能性があります。薬の服用量やタイミング、食事とのバランスが適切でない場合にも起こります。

食事の摂取不足による原因

特にカロリーや糖分を含む食事を摂らなかった場合、血糖値は下がります。長時間食事を摂らずに運動すると、この効果はより顕著になります。

過度のアルコール摂取による原因

アルコールは肝臓が血糖を生成する能力を抑制するため、大量のアルコールを飲むと血糖値が下がる可能性があります。

膵臓や肝臓、腎臓の病気による原因

膵臓や肝臓、腎臓の病気などは、低血糖を引き起こす可能性があります。特定の遺伝疾患も低血糖を引き起こす場合があります。

特定の薬物摂取による原因

糖尿病の薬以外にも、キニーネなどの特定の薬物は、低血糖を引き起こす副作用がある場合があります。

低血糖の生命の危険は?低血糖を放置するとどうなる?

低血糖を放置するとどうなる

低血糖は、何もせず放置すると深刻な問題を引き起こす可能性があります。

血糖値が低下すると、脳をはじめとする体の各部位へのエネルギー供給が不足し、多くの重要な機能に影響を及ぼします。症状の程度は、血糖値がどれほど低下するかにもよりますが、最悪な場合は昏睡状態や命を落とすことにも繋がる可能性があります。

物理的・精神的なパフォーマンスの低下

注意力や記憶、手足の感覚などが低下し、仕事や学習のパフォーマンスに影響を及ぼします。

混乱や意識の低下、低血糖性昏睡

重度の低血糖では、混乱や意識の低下、さらには昏睡状態に陥ることがあります。特に血糖値が急激に低下した場合には、低血糖性昏睡と呼ばれる状態になることがあります。これは重度の昏睡状態で、急速な治療が必要です。

交通事故のリスク

混乱や意識障害が引き起こす事故による危険もあります。たとえば、運転中に低血糖が起きると、交通事故を起こす可能性があります。

脳損傷や狭心症、心筋梗塞

長時間に渡り血糖値が低い状態が続くと、脳が必要なエネルギーを得られず、脳機能に損傷を与える可能性があります。これは記憶障害や認知機能の低下、さらには不可逆的な脳損傷を引き起こす可能性があります。また、低血糖の放置によって、不整脈や狭心症、心筋梗塞などの病気が誘発されることもあります。

死亡リスク

最悪の場合、極度の低血糖は命を奪うことがあります。特に、低血糖性昏睡の状態から回復するための適切な治療が遅れた場合、提供されなかった場合に起こります。

低血糖の後遺症は?

低血糖の後遺症

低血糖は一時的な状態であれば、通常は血糖値が正常に戻ると症状も改善します。しかし、重度の低血糖や長時間に渡る低血糖は、脳や神経系に損傷を与える可能性があり、場合によっては重篤な後遺症を引き起こすことがあります。

脳障害のリスク

血糖値が非常に低い状態が長時間続くと、脳に供給されるエネルギーが不足し、一部の脳細胞が機能を失う可能性があります。認知機能の低下や記憶障害、脳損傷を引き起こす可能性があります。

無自覚性低血糖のリスク

頻繁に低血糖が起きると、身体が次第に低血糖状態に適応し、低血糖の兆候が見られにくくなることがあります。無自覚性低血糖では、血糖値が低下しても自覚症状が出ないため、重度の低血糖を未然に防ぐことが難しくなります。

心臓疾患のリスク

一部の研究では、繰り返しの重度の低血糖が心臓疾患のリスクを増加させる可能性が示されています。

低血糖の時に食べるといいもの、飲むといいものは?

低血糖の時に食べるといいもの、飲むといいもの

低血糖の時は、素早く血糖値を上げることが必要です。そのためには、糖分を多く含む食べ物や飲み物を摂取するのがおすすめです。

ブドウ糖

ブドウ糖は血糖値を素早く上げるための最も効率的な糖質です。ブドウ糖の錠剤やゲルは手軽に摂取でき、体内で迅速に吸収されます。

果物ジュース

オレンジジュースやリンゴジュースなどの果物ジュースは、糖分が豊富で、すばやく血糖値を上昇させます。

飴やキャンディ、チョコレート

飴やキャンディ、チョコレートやラムネなども糖分が多く含まれています。

ハチミツ・砂糖

砂糖やハチミツも、速やかに血糖値を上昇させます。

低血糖時のブドウ糖の摂取量は?

低血糖時のブドウ糖の摂取量

低血糖時のブドウ糖の摂取量は、一般的に15g~20gとされています。手元にブドウ糖がない場合は、砂糖や飴などで代用します。

15g~20gのブドウ糖は血糖値を迅速に上昇させるのに十分で、15分後に再び血糖値を測定し、まだ低い場合は再び15g~20gのブドウ糖を摂取します。この方法は15/15ルールとも呼ばれ、低血糖の自己管理に広く使用されています。

ブドウ糖はどこで買える?どこで売ってる?

ブドウ糖は、薬局やドラッグストアなどで、普通に購入することができます。また、ネット通販でもブドウ糖を購入することが可能です。処方箋でも可能ですが、ウエルシア薬局、ツルハドラッグ、マツモトキヨシ、ココカラファインなど、どこのドラッグストアでも取り扱いがあります。

低血糖を治す食事療法とは?

低血糖を治す食事療法

低血糖は、血糖値を上昇させることで治すことができます。しかし、低血糖自体を完治させることは非常に難しいのが現状です。そのため、普段の食事や運動、薬の使用などで血糖値のモニタリングを行い、生涯に渡って血糖値の管理を続ける必要があります。

1日の食事回数を増やす

血糖値を安定させるには、1日に何回か小さな食事を摂るか、3食の間に健康的な食品をこまめに摂ると良いです。逆に食事と食事の間が空いてしまうと、急激に血糖値が低下する可能性があります。

バランスの良い食事

バランスの良い食事には、適度な量のタンパク質、健康的な脂質、多くの野菜、全粒穀物、そして適度な果物が含まれます。バランスの良い食事は血糖値の急な上昇を抑え、一定のエネルギー供給を保つのに役立ちます。

低GI食品の摂取

GI(グリセミックインデックス)は、食品が血糖値にどれだけ影響を与えるかを示す指標です。低GI食品は、血糖値の上昇をゆっくりとさせるため、低血糖の予防に有効です。低GI食品には全粒穀物、豆類、野菜、一部の果物などがあります。