過払い金請求とは、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などから借入を行った際に、支払った利息が法定金利を超えていた場合に、過払い分の利息を返還請求することを指します。これは、金利が適正でなかったとして過払い金が発生したという意味です。
過払い金の請求は、消費者金融やクレジット会社などの金融会社に対して行うことができます。過払い金が発生する原因は、主に以下のようなものがあります。
・利息制限法に違反した高金利での貸付
・金利の算定方法が不適切であった場合
・借入金の返済が遅れた場合の遅延損害金が法定金利を超えていた場合
過払い金の請求を行う際には、まず過払い金が発生しているかどうかを確認する必要があります。そのために、契約書や返済明細書などの過去の借入や返済に関する資料を整理し、弁護士や司法書士に相談することが一般的です。過払い金の請求期限は、過払いが発生した日から起算して10年間です。
ただし、過払い金の請求ができる場合でも、金融会社との交渉や訴訟が必要になることがあるため、専門家の支援を受けることが望ましいです。また、過払い金請求を行うことで信用情報に影響が出ることがありますので、その点も注意が必要です。
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グレーゾーン金利とは?
グレーゾーン金利とは、過去に日本の金融業界で問題となった、利息制限法と出資法の間の法定金利の隙間(グレーゾーン)を利用した金利のことを指します。
これは、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間にある金利帯で、法的には違法ではないものの、倫理的に問題があるとされていました。
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利息制限法の上限金利とは?
利息制限法では、金利の上限が年率15%~20%(貸金業者や貸付金額によって異なる)と定められており、この範囲を超える金利は違法とされています。一方、出資法では、年率29.2%までの金利が認められていました。
このため、金融業者は利息制限法の上限を超え、出資法の上限金利までの範囲で貸付を行うことができました。
グレーゾーン金利の禁止
グレーゾーン金利は消費者にとって不利な取引とされ、金融業界における過払い金問題の原因となりました。そのため、2010年に改正された貸金業法でグレーゾーン金利は禁止され、利息制限法の上限金利が全面的に適用されるようになりました。
グレーゾーン金利は違法
現在では、グレーゾーン金利は違法とされており、過去にグレーゾーン金利で貸付を受けた消費者は、過払い金請求を行うことができます。過払い金請求を検討する場合は、専門家に相談し、適切な手続きを行うことが重要です。
過払い金請求ができる可能性が高い人の特徴は?
過払い金請求ができる可能性が高い人は、グレーゾーン金利や法定金利の上限を超える金利でキャッシングやクレジットカードを利用していた人です。また、過払い金請求は長期に渡って借金を返済していた人にも過払い金が戻ってくる可能性が高くなります。
過払い金請求は、気が付かないうちに払い過ぎた利息が100万円以上になっている場合もありますので、これらの特徴に当てはまる人は、過払い金請求を検討してみる価値があります。
高金利での借入れの経験がある
グレーゾーン金利や過去の法定金利の上限を超える金利での借入れ経験がある人は、過払い金が発生している可能性が高いです。
長期間の借入れ経験がある
長期間に渡って借金を返済している人は、金利の積み上げによって過払い金が発生している可能性が高くなります。
複数の金融会社からの借入れ経験がある
複数の金融会社から借り入れを行っている場合にも、過払い金が発生している可能性が高いです。
過去にカードローンやキャッシングを利用していた
カードローンやキャッシングなど、高金利での借入れが一般的な金融商品を利用していた人は、過払い金が発生している可能性が高いです。
過去に遅延損害金や延滞金を支払ったことがある
遅延損害金や延滞金の計算方法に問題があった場合、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金請求のメリットとは?
過払い金請求のメリットは、払い過ぎた利息が戻ってくる(お金を返してもらえる)ことです。そのため、カードローン会社やクレジットカード会社との取引期間が長ければ長いほど、より多くの現金を受け取ることができます。また、過払い金請求でお金が戻ってきますので、借金を返済中の人は元金や毎月の返済金額を大幅に減らすことも可能です。
払い過ぎた利息によっては、既に借金の返済が終わっていたという場合もありますので、過払い金請求を行うことで借金が全て完済でき、さらに数十万円~数百万円の現金が戻ってくることもあるのです。
返還金の獲得
過払い金請求を行うことで、不当に支払った金利分が戻ってくる可能性があり、経済的な負担が軽減されることが期待できます。
金利の適正化
過払い金請求を行うことで、金融会社が不当な金利設定を見直し、適正な金利での貸付を行うようになる可能性があり、今後の借入れにおいても適正な金利が適用されることが期待できます。
消費者保護の向上
過払い金請求によって、金融会社の不当な取引を明らかにすることができ、他の消費者に対する悪質な取引の防止が期待できます。
金融会社の法令遵守の促進
過払い金請求を通じて、金融会社や金融機関が法令を遵守することの重要性を再認識し、適正な業務運営を行うようになることが期待できます。
過払い金請求のデメリットは?
過払い金請求にはデメリットが存在します。たとえば、過払い金請求を行うことで、信用情報機関に今後のカード利用が不利になるような情報が記録されたり、過払い金を請求した金融会社との取引が打ち切られたりすることもあります。
また、過払い金の請求には弁護士や司法書士に依頼する必要がありますので、着手金や成功報酬として受け取った金額の20%~30%の手数料がかかります。ただし、過払い金請求はほとんどの弁護士や司法書士が成功報酬にて請け負っていますので、仮に過払い金が受け取れなかった場合や金融会社から過払い金の返還がなかった場合には、弁護士や司法書士への報酬は無料になります。
信用情報への影響
過払い金請求を行うことで、金融会社が信用情報機関に情報提供を行い、信用情報に記録されることがあります。そのため、今後の借り入れやクレジットカードの利用・取得が困難になる場合があります。
金融機関との関係悪化
過払い金請求を行うことで、金融会社との関係が悪化し、今後の取引が困難になることがあります。特に過払い金請求が訴訟に発展した場合には、関係悪化が顕著になることが考えられます。
過払い金請求の費用負担
過払い金請求を行う際には、弁護士や司法書士に依頼することが一般的ですが、これに伴う費用が発生します。成功報酬型のサービスもありますが、弁護士や司法書士によっては過払い金請求が成功しなかった場合でも、通常通り費用が発生することもあります。
時間と手間の負担
過払い金請求には過去の契約書や返済明細書の収集、専門家への相談、金融会社との交渉や訴訟など、時間と手間がかかることがあります。また、請求期間が長引くと精神的なストレスも伴う場合もあります。
過払い金請求の期限や時効は?
過払い金請求に関する時効は、過払いが発生した日から起算して10年間です。これは、民法の定める金銭債権に関する時効規定に基づいています。過払い金の請求を検討する場合は、時効に注意することが重要です。時効が成立すると、過払い金の返還請求権が消滅し、金融会社に対して過払い金の返還を求めることができなくなります。
ただし、以下のような場合には時効が中断されることがあります。時効が中断されると、中断事由が発生した日から新たに10年間の時効が始まります。
過払い金請求の時効がストップするケース
・金融会社が書面で過払い金の返還に応じる旨を伝えるなど、過払い金の存在を認めるような行為を行った場合
・金融会社に対して過払い金の返還を求める交渉や催告が行われた場合
過払い金請求の時効が過ぎても請求する方法はある?
過払い金請求の時効が過ぎてしまった場合、原則として過払い金の返還請求権が消滅し、金融会社に対して過払い金の返還を求めることはできません。しかし、特定の状況下で金融会社が過払い金の返還に応じる可能性はあります。ただし、これらの方法は必ずしも成功するとは限らないため注意が必要です。
金融会社との交渉
時効が成立しているにもかかわらず、金融会社に過払い金の返還を求める交渉を行うことができます。ただし、時効成立後の過払い金請求に対して金融会社が応じることは稀であり、成功する可能性は低いです。
時効の中断や停止を主張する
時効が中断されたり、停止したりした場合は、時効の期間が延長されることがあります。しかし、時効の中断や停止を主張するには、具体的な証拠が必要です。そのため、専門家に相談し、適切な証拠を揃えることが重要です。
これらの方法によって過払い金請求を行う場合でも、成功する保証はありません。原則として時効が成立する前に過払い金請求を行うことが望ましいです。もし時効が過ぎてしまった場合には、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
過払い金請求でブラックリストに載る?
過払い金請求自体は、消費者が不当に支払った金利分をキャッシング会社やカードローン会社、クレジットカード会社などから返還してもらう正当な権利行使です。そのため、過払い金請求を行ったからといって、必ずしもブラックリストに載るわけではありません。
信用情報機関にネガティブな情報が残る
過払い金請求が金融会社との関係悪化に繋がることがあります。特に訴訟を起こすようなケースでは、金融会社がその事実を信用情報機関に報告することがあります。
これにより、信用情報が悪化し、今後のキャッシングの借入れやクレジットカードの取得が困難になる可能性があるのです。
メリットとデメリットを比較する
過払い金請求を検討する際は、専門家である弁護士や司法書士などに相談し、金融会社と円満に交渉できる方法や、信用情報への影響を最小限に抑える方法を検討することが望ましいです。
それでも過払い金請求による信用情報への影響を完全に避けることは難しい場合もありますので、メリットとデメリットを慎重に比較して判断されることをおすすめします。