こむら返りとは、ふくらはぎの筋肉が痙攣して突然硬くなり、強い痛みを感じる現象を指します。こむら返りは、夜寝ている時に起こることが多く、足がつるような感覚が特徴で、ふくらはぎ以外にも手や足の指、太もも、首や肩、背中など、様々な場所で同じような症状が出ます。
こむら返りは、筋肉が過度に収縮した結果として起こります。通常、筋肉の収縮と弛緩は私たちの意志でコントロールできますが、こむら返りでは、筋肉が自発的に強く収縮し、それが一時的にコントロール不能になります。その結果、激しい痛みを感じることがあります。
こむら返りの症状とは?
こむら返りの主な症状は、突然発生する強い筋肉の痛みです。これは、一部の筋肉が過度に強く収縮し、それが自分の意志ではコントロールできない状態を指します。痛みは数秒から数分間続きます。
こむら返り症状は、大抵の場合、自己管理でき、時間と共に自然に改善します。ただし、こむら返りが頻繁に起こる場合、非常に痛みが強い場合、痛みが長時間続く、明確な原因がない場合などは、医療専門家に相談することが重要です。もしかすると、こむら返りが他の病気の症状である可能性があるからです。
強い痛み
こむら返りの最も顕著な症状は、筋肉の強い痛みです。こむら返りの痛みは突然に始まり、寝ている時でも一瞬で目が覚めるほど強烈な痛みです。
筋肉の硬さ
こむら返りが発生すると筋肉が硬直し、裏返っているような硬さを感じることができます。
歩くことができない
こむら返りの発作中、収縮した筋肉の動きは制限され、歩行などの通常の動作が困難になることがあります。
持続的な痛み
こむら返りが終わった後でも、筋肉は疲労感を感じ、数時間から一日程度痛みが残ることがあります。
こむら返りや足がつる原因とは?
こむら返りの原因は、筋肉の疲労や栄養不足、水分不足や冷えなどがあります。また、60歳以上の人は筋肉の衰えなどから、こむら返りになりやすいとされています。
筋肉の疲労による原因
筋肉が過度に使われると、突然のこむら返りを引き起こすことがあります。これは、長時間の運動や過度の運動によって引き起こされることがあります。
水分不足・脱水による原因
体が充分な水分を摂取していない場合、筋肉は十分に機能せず、これがこむら返りを引き起こす可能性があります。
カルシウムやカリウムなどの電解質不足
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質は、筋肉の正常な機能に不可欠です。電解質の不足は、筋肉の異常な収縮を引き起こし、結果的にこむら返りを引き起こす場合があります。
寒さによる原因
寒い環境は筋肉の収縮を引き起こし、こむら返りを発生させる可能性があります。
長時間の同じ姿勢による原因
長時間座っていたり、寝ていたりすると筋肉が収縮し、こむら返りを引き起こす場合があります。
肝臓や甲状腺、神経疾患などの病気
肝臓の病気、甲状腺の問題、神経疾患など、特定の病状はこむら返りを引き起こす可能性があります。
年齢による原因
年齢と共に筋肉が萎縮し、筋力が減少すると、こむら返りのリスクが高まります。
妊娠中の女性
妊娠中は、体内のホルモンバランスの変化や子宮の重さが血液循環に影響を及ぼし、こむら返りを引き起こす可能性があります。また、妊娠中はカルシウムなどのミネラルが不足することも、こむら返りのリスクが高くなる原因の1つです。
特定の薬を使用している人
高血圧の治療薬、コレステロールの降下薬、抗精神病薬などを服用している人は、こむら返りを引き起こす副作用があることが知られています。
こむら返りになりやすい人とは?
こむら返りは誰でも経験する可能性がありますが、スポーツ選手や高齢者、妊娠中の女性など、特定のグループの人は特にこむら返りを経験しやすいと考えられています。
特に、マラソンやトライアスロン、サイクリングなどの激しいスポーツは、こむら返りを起こしやすいと言われています。また、サッカー、バスケットボール、バレーボールなども大量に汗をかきますので、水分不足や脱水により、こむら返りが起こりやすくなります。
こむら返りや足がつるのが夜に起こる理由
夜中に足がつって目が覚める、朝に伸びをしたら足がつったという経験は誰でもあると思いますが、こむら返りが夜に起こる理由は、就寝中は大量に汗をかきますので、脱水症状によって、こむら返りが引き起こされます。
スポーツをしている人なら筋肉疲労が原因と考えられます。50代~60代以上の人は年齢による筋肉の衰えが原因と考えられます。
足がつるのは何の栄養が足りないから?
足がつる原因の一つには、特定の栄養素が不足していることが挙げられます。
マグネシウムやカリウム、カルシウムなどの栄養素は、バランスの良い食事から摂取することが一般的ですが、足が頻繁につる場合や特定の症状がある場合は、医師に相談して栄養素の不足が原因でないかを確認し、必要であればサプリメント等で補うことを検討することが重要です。
マグネシウム
マグネシウムは、筋肉の収縮とリラクゼーションに必要なミネラルです。マグネシウムが不足すると筋肉が適切にリラクゼーションできず、こむら返りが引き起こされることがあります。
カリウム
カリウムは体液のバランスを保つことに関与する重要なミネラルで、筋肉の正常な機能にも必要です。カリウムが不足すると、筋肉の収縮が正常に行われないことがあります。
カルシウム
カルシウムは、筋肉の収縮に必要なミネラルです。カルシウムが不足すると、筋肉の収縮が適切に行われないことがあります。
ビタミンB群
ビタミンB群(特にビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12)は神経機能の健康に重要であり、神経が筋肉に適切に信号を送るために必要です。
こむら返りに効く食べ物、足がつりにくくなる食べ物
こむら返りや足がつる原因は、マグネシウムやカリウム、カルシウムやビタミンが不足していることが理由です。そのため、原因となる栄養素を含む食べ物を摂取することで、こむら返りの予防に役立つかもしれません。
下記に記載する食べ物は、特にマグネシウム、カリウム、カルシウム、ビタミンが豊富に含まれている食材です。これらの食材を意識的に摂取することで、こむら返りの予防や足がつりにくくなる効果があります。
マグネシウムを多く含む食品
・ひじき、昆布、あおさ、わかめ、あおのりなどの藻類
・干しエビ、しらす、あさり、はまぐりなどの魚介類
・切り干し大根、ほうれん草、ごぼうなどの野菜類
・納豆、豆腐、油揚げ、きな粉などの豆類
カリウムを多く含む食品
・昆布、ひじき、あおさ、焼きのりなどの藻類
・あんず、いちじく、ぶどう、柿、アボカド、ばなな、キウイフルーツなどの果実類
・切り干し大根、ほうれん草、枝豆、ニラ、小松菜、シソ、サニーレタスなどの野菜類
・さつまいも、じゃがいも、里芋、長芋などの芋類
・大豆、納豆、豆乳、あずき、豆腐などの豆類
カルシウムを多く含む食品
・牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品
・小松菜、菜の花、水な、切り干し大根などの野菜類
・ひじき、昆布、わかめ、あおさなどの藻類
・さくらえび、ししゃも、カタクチイワシ、マアジなどの魚介類
・豆腐、納豆、厚揚げなどの豆類
ビタミンB1を多く含む食品
・豚ヒレ肉、豚もも肉などの肉類
・うなぎ、かつお節、真鯛、紅サケなどの魚介類
・ごま、落花生、ぎんなん、アーモンドなどの種実類
ビタミンB6を多く含む食品
・ビンチョウマグロ、カツオ、ゴマサバ、カタクチイワシなどの魚介類
・ごま、落花生などの種実類
・ししとう、モロヘイヤ、ブロッコリー、切り干し大根などの野菜類
ビタミンB12を多く含む食品
・しじみ、あさり、牡蠣、にしん、マイワシ、サンマなどの魚介類
・あまのり、あおさ、わかめなどの藻類
・牛のレバー、豚のレバー、鶏のレバーなどの肉類
・プロセスチーズ、パルメザンチーズ、チェダーチーズ、モッツァレラチーズ、カマンベールチーズなどの乳製品
こむら返りや足がつるのを予防するには?
こむら返りの改善や予防には、水分補給や定期的なストレッチ、栄養バランスを考えた健康的な食生活が大切です。こむら返りは非常に不快な症状であるため、普段からこむら返りが起こらないように予防することは、とても重要です。
水分補給や電解質の補給
脱水や電解質の不足は、こむら返りを引き起こす可能性があります。適量の水分を摂取し、バランスの良い食事を心掛けることで、電解質のバランスを保つことが重要です。
適度な運動
筋肉を適度に使うことで、こむら返りを予防することができます。特に運動前のウォームアップと、運動後のクールダウンやストレッチは重要です。
ウォーミングアップとは?やり方や種類、目的や効果・注意点
定期的なストレッチ
特にふくらはぎのストレッチは、こむら返りの予防に役立ちます。また、寝る前に軽いストレッチを行うことも効果的です。
体を暖める
寒さは筋肉の収縮を引き起こすため、特に就寝時には暖房を使用し、暖かい服装を心掛けると良いでしょう。
健康的な生活習慣
アルコールの過剰摂取や不規則な生活習慣は、こむら返りを引き起こす可能性があるため、健康的な生活習慣を維持することも重要です。
服用している薬の確認
高血圧の治療薬やコレステロール降下薬などの薬の影響で、こむら返りを引き起こす可能性があります。頻繁にこむら返りが起きる場合には、使用している薬が原因ではないか医師に相談することが重要です。
こむら返りが起きた時や足がつった時の対処法とは?
こむら返りが起きた時や足がつった時は、つった筋肉をゆっくり伸ばすことが重要です。また、つった筋肉を揉みほぐすことも、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
つった筋肉を伸ばす
つった筋肉を優しく伸ばすことで、筋肉の緊張を和らげることができます。たとえば、ふくらはぎがつった場合は、足をまっすぐに伸ばし、つま先を自分の方に引っ張ると良いでしょう。
筋肉を揉みほぐす
こむら返りや足がつった時は、マッサージも効果的です。つった筋肉をゆっくりと揉みほぐすことで、筋肉の緊張を和らげることができます。
温熱療法
ホットパックや蒸しタオルなどを使って、つった筋肉を温めることで、筋肉のリラクゼーションを促すことができます。
スポーツドリンクや経口補水液の摂取
こむら返りが頻繁に起きる場合は、脱水や電解質の不足が原因である可能性がありますので、水やスポーツドリンク、経口補水液を摂取しましょう。
リラクゼーション
深呼吸をしたり、リラックスする音楽を聞いたりするなどして、全身のリラクゼーションを促すと良いでしょう
こむら返りや足がつった時の治し方・治療方法とは?
一般的に、こむら返りは自己管理やライフスタイルの変更で対処可能な症状です。しかし、あまりにも痛みがひどい場合やすぐに治したい場合には、いくつかの治療法を行うことで、こむら返りを改善することが可能です。
薬物療法
医師の指示の元で、ビタミンB12、ビタミンE、マグネシウムのサプリメントなどが有効なことがあります。また、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を利用することで、こむら返りの筋肉のけいれんや痛みを緩和することができます。
物理療法
頻繁にこむら返りが発生する場合、理学療法士と一緒に適切な運動やストレッチングのプログラムを作成することが有効なこともあります。