年俸制とは

年俸制とは、労働者の給与体系の一つで、企業や団体が従業員に支払う給与を1年単位で固定された金額として支給する制度です。

年俸制では、従業員は一定の年俸を受け取ることが保証されます。年俸制は、月給制や時給制とは異なり、月ごとの労働時間や成果に応じた変動がないため、収入の予測がしやすいというメリットがあります。

また、給料が年俸制の場合、従業員は年俸契約を結びます。年俸契約では、年俸の金額や支払い方法、勤務時間や休暇制度などの労働条件が明確に規定されます。一般的に、年俸制は月給制に比べて給料水準が高めに設定されることが多い傾向があります。
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年俸制と月給制の違い

年俸制と月給制の違い

年俸制と月給制の主な違いは、給料の安定性や労働時間の柔軟性が大きく異なります。また、年俸制では給料が1年単位ですが、月給制では給料が1ヶ月単位となります。

給与支払いの単位

年俸制では、従業員に支払われる給与は1年単位で固定されます。一方、月給制では、給与は1ヶ月単位で支払われます。

給与の安定性

年俸制では、従業員は一定の年俸を受け取ることが保証されます。月給制では、給与は労働時間や成果に応じて変動することがあります。

労働時間の柔軟性

年俸制では、労働時間による給与の変動はありません。一方、月給制では、労働時間が増減した場合には、その分が給与に反映されることになります。

休暇時の給与支払い

年俸制では、従業員が長期の休暇を取得した場合でも給与が支払われます。一方、月給制では、休暇期間における給与支払いは労働契約や労働法によって異なる場合があります。

責任と業績目標

年俸制では、高い給与が設定される場合がありますが、それに応じて従業員には一定の責任や業績目標の達成が求められることがあります。月給制でも目標や評価は存在しますが、年俸制ほどの直接的な関係はありません。

年俸制のメリットは?

年俸制のメリット

年俸制のメリットは、給料が1年間保証されることです。また、年俸制は年間の支給額が明確にわかりますので、生活設計がしやすいというメリットもあります。
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収入の予測がしやすいメリット

年俸制は給与の予測がしやすく、生活の安定性を確保できます。月給制のように労働時間や成果に応じた給与変動がないため、収入の予測が容易です。

労働時間による収入の変動がない

年俸制では、従業員は一定の年俸を受け取るため、労働時間の増減によって収入が変動することはありません。これにより、柔軟な働き方やワークライフバランスの確保が可能となります。

長期休暇が取りやすい

年俸制では、通常の休暇や年次有給休暇だけでなく、病気休暇や育児休暇などの長期に渡る休暇にも対応できます。これにより、従業員は安心して休暇を取ることができます。

給与の高さ

年俸制では、一般的に月給制よりも給与が高めに設定されることがあります。年俸制にすることで、従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保に寄与する可能性があります。

年俸制のデメリットは?

年俸制のデメリット

年俸制のデメリットは、労働時間が長くなる可能性があることです。また、年俸制は途中で給料を変更することができませんので、どれだけ成果を出しても、すぐに給料に反映されることがありません。

月給制であれば、手当や賞与で受け取ることができますので、年俸制は頑張りが給料に反映されにくいというデメリットがあります。

労働時間が長くなるデメリット

年俸制は、給与が労働時間に関係なく固定されるため、従業員は長時間労働や残業を行っても給与が増えない可能性があります。労働時間が増えた場合には、実質的な労働時間に見合った給与を受け取ることができない場合があります。

途中退職の給与の未払い

年俸制では従業員が途中で退職した場合に、未労働期間に対する給与が支払われないことがあります。月給制のように、実際の労働時間に応じた給与が支払われないため、退職時の給与面での不利益を受ける可能性があります。

モチベーションの低下や不公平感

年俸制は一定の年俸が保証されるため、成果に応じた報酬の直接的な関連性が希薄になります。従業員が高い成果を上げた場合でも給与は変動しないため、モチベーションの低下や公平性への疑念が生じることがあります。

給与の変更や見直しが難しい

年俸制は給与が年単位で固定されるため、給与の変更や見直しが難しい場合があります。労働条件や市場価値の変動に応じて給与を適切に調整することが困難となる場合があります。

年俸制でも残業代は支給される?

残業代の支給

一般的に、年俸制でも労働契約や労働法の規定に基づき、労働時間に応じた残業代が支払われます。

ただし、全ての年俸制の会社で残業代が支給されるわけではありません。労働契約や法律の規定、労働環境などによって異なるため、個別の状況に基づいて確認する必要があります。

労働契約書

労働契約書は、従業員と雇用主との間で合意される契約文書です。契約書には、労働時間や残業に関する規定が含まれる場合があります。契約書の内容を確認し、残業に対する明確な条項があるかどうかを確認してください。

労働基準法

労働基準法は、労働者の権利や労働条件に関する法律です。労働基準法には、労働時間や残業に関する規定が含まれており、一定の条件下で残業代の支払いが求められることがあります。

労働環境や業界慣行

一部の業界や企業では、年俸制でも労働時間に応じた残業代が支給されることが慣例となっている場合があります。逆に残業代が支払われないことが慣例となっているケースもあります。
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年俸制の賞与は?年俸制でもボーナスは支給される?

年俸制の賞与

年俸制でもボーナスが支給される場合があります。ただし、年俸制では決まった金額を12で割って支給する会社がほとんどとなっていますので、ボーナスの支給有無や条件は雇用契約の内容によって異なります。

雇用契約

雇用契約書や労働契約には、ボーナスに関する規定が含まれている場合があります。契約書の内容を確認し、ボーナスの支給について明確な条項があるかどうかを確認してください。

企業の方針

企業によっては、年俸制でもボーナスを支給する方針を採用している場合があります。これは、従業員のモチベーション向上や業績への貢献を奨励するために行われることがあります。

業界の慣行

一部の業界では、年俸制でもボーナスの支給が一般的な慣行となっている場合があります。業界の慣行や他の企業の実態を調査することで、自社のボーナス制度の有無や内容を把握することができます。

賞与なしのデメリットは?

賞与なしのデメリット

賞与がない場合のデメリットは、報酬の不公平感やモチベーションの低下などが考えられます。ただ、賞与がない場合でも他の報酬や福利厚生制度が充実している場合や給与水準が十分に高い場合には、これらのデメリットが相対的に緩和されることもあります。

報酬の不公平感

賞与は業績や貢献度に応じて支給されるため、業績の良い従業員や優れた成果を上げた従業員には報酬として還元されます。一方で、賞与がない場合、成果や貢献度に応じた報酬が得られないため、従業員間での報酬の不公平感が生じる可能性があります。

モチベーションの低下

賞与は従業員のモチベーションを高める要素の一つです。報酬を目指して成果を上げることにより、従業員は仕事への意欲を高めることができます。一方、賞与がない場合、報酬としての目標が欠如するため、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。

企業への忠誠心の低下

賞与は従業員と企業との関係を強化する要素の一つです。報酬が与えられることにより、従業員は企業への忠誠心や組織への帰属感を高めることができます。しかし、賞与がない場合、従業員の企業への忠誠心が低下する可能性があります。

高いパフォーマンスの維持の困難さ

賞与は成果を評価し、報酬として還元する仕組みです。賞与がない場合、成果を評価して報酬に繋げる仕組みが欠如するため、高いパフォーマンスを維持することが困難になる場合があります。

年俸制でも退職金は出る?

年俸制でも退職金は出る

年俸制の場合、退職金の有無や支給条件は労働契約によって異なります。一般的には、年俸制の従業員に対しても、通常通り退職金が支給されます。

退職金の支給条項

労働契約書や労働条件には、退職金に関する規定が含まれている場合があります。労働契約を確認し、退職金の支給について明確な条項があるかどうかを確認してください。

企業の方針による支給

企業によっては、年俸制の従業員に対しても退職金を支給する方針を採用している場合があります。これは、従業員の長期的な雇用関係や忠誠心を評価し、退職後の生活を支えるために行われることがあります。

年俸制と月給制はどっちがいい?

年俸制と月給制はどっちがいい

年俸制と月給制は、どちらにもメリットがあり、どちらにもデメリットがあります。では、年俸制と月給制ならどちらがいいのかとなりますが、日本国内で正社員として働くなら月給制が良いでしょう。

日本企業で働くなら月給制がお得

日本では、ある日突然、会社をクビになるということは、ほとんどありません。また、現在も終身雇用の企業体質が残っています。そのため、日本の会社員の場合、年俸制で1年ごとに査定があり、その年によって給料が上がったり下がったりすることのメリットがありません。

仮に外資系企業のように、成果を出せば年収が何千万円もアップするなら年俸制のほうが魅力的です。しかし、日本企業では数万円~数十万円程度の差になりますので、月給制で給料やボーナスをきちんと受け取るほうがお得と考えられます。