出世したくない理由

最近では、会社で出世したくない人が増えています。出世したくない症候群と呼ばれる一生平社員のままでいいという考え方です。

20年~30年前であれば出世を目指すことが当たり前で、朝から晩までバリバリ働くということが普通でした。毎日のように飲み歩き、家に帰らずホテルに泊まってそのまま出社する人もいました。高級スーツに高級腕時計をして、高級車に乗ることが一種のステータスとなっていた時代もありました。

しかし、今は「出世したくない」「昇進したくない」「偉くなりたくない」という人が多いのです。30代、40代でも「管理職になりたくない」という人が増えています。また、「お金を稼ぎたくない」「最低限の生活ができればいい」という人もいます。

では、なぜ出世したくない人が増えているのでしょうか。

昇進したくない、出世したくない理由は?

昇進したくない

出世したくない理由は人によって様々です。個々の価値観、目標、状況によって、出世したくない、管理職になりたくないと感じる理由は異なります。

たとえば、出世することで仕事中心の生活になり、長時間労働が当たり前になって、自分の時間がなくなってしまうことが嫌だと感じる若者もいます。また、出世することで上司からのプレッシャーが強くなり、ストレスを抱えながら仕事をすることは避けたいと思う人もいます。

そもそも、出世をしても管理職になっても、それほど給料が増えないという根本的な理由もあります。出世しても数千円~一万円程度の役職手当しかもらえないとか、管理職になっても年収がほとんど変わらず、責任だけ押し付けられるといった会社もあります。
ワークライフバランスとは?意味や使い方、充実させるメリット

ワークライフバランスの充実

出世すると仕事の責任が増え、長時間労働に繋がることが多くなります。家庭や趣味、自己啓発など、仕事以外のライフスタイルを大切にしたいと思う人は出世を避ける傾向があります。

職場の政治

高い地位に付くと、企業の政治的な側面に巻き込まれることが増えます。これを避けたい人は、昇進を望まないことがあります。

今の仕事に満足している

既に現在の仕事に満足していて、その業務を続けたいと思う場合、出世を望まないことがあります。出世によって仕事の性質が大きく変わることがあり、それを避けたいと思う人もいます。

プレッシャーとストレス

高い地位には高い期待とプレッシャーが伴います。これに対処するのが難しいと感じる人は、出世することを避けることがあります。

キャリアの方向性の違い

人によっては、自分のキャリアの進行方向が伝統的な出世コースとは異なるかもしれません。自己実現やパーソナルな成長を求める人は、企業内での昇進よりも自己啓発やスキル習得を優先することもあります。

出世しても給料が上がらない

出世しても給料が揚がらない場合、年収がほとんど変わらない場合は、出世をすることに否定的となる傾向があります。上司や先輩が自分とほぼ同じような給料で、毎日遅くまで仕事をしている姿を見ていると、出世することがバカバカしくなることもあります。

出世するメリットとは?

出世するメリット

出世することには多くのメリットがあります。たとえば、給料が上がることや待遇面が改善されることはもちろんですが、社内での立場や影響力も上がります。人脈の構築にも繋がりますので、自分自身のキャリアアップにもなります。

ただ、出世することが必ずしも全ての人にとって最良の選択であるとは限りません。その人が、どのような目標を持っているのか、又はどのような人生・生活バランスを求めているのかにもよります。

給与や待遇面の向上

通常、昇進すると給与や待遇がよくなります。これにより、会社によっては年収が100万円以上もアップするケースもありますので、金銭的な余裕が生まれ、生活水準を上げることも可能になります。

影響力の増大

高い地位に付くと組織内での決定に、より大きな影響力を持つことができます。組織の方向性を形成し、ポジティブな変化をもたらすための機会となります。

新たなスキルの習得

昇進すると、新たな責任とチャレンジが増えます。これは新たなスキルを学び、個人的な成長と発展を達成する機会となります。

キャリアアップや自己実現・目標の達成

出世は自己の能力を認識し、自己の価値を高める一方で、自己の目標と野心を達成する一助となります。

人脈の構築

高い地位につくと、より多くの人や異なる業界の人と接触する機会が増えます。これはキャリア上の更なる機会を開く可能性があります。

達成感や誇り・やりがい

昇進は、個人の努力と成果が認められる瞬間であり、それ自体が達成感と誇りを感じるための源泉となります。

出世するデメリットとは?

出世するデメリット

出世することには多くの利点がありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。

出世するということは、それだけの責任が伴います。また、これまで以上に仕事に打ち込むことが求められますので、必然的に自分の時間が少なくなります。職場の人間関係も複雑になりますし、何か失敗やミスがあれば、すぐに責任を取らされてしまいます。

責任とプレッシャーの増大

昇進すると責任が増え、プレッシャーが高まります。これはストレスを増加させ、時には健康に影響を及ぼす可能性があります。

ワークライフバランスの悪化

高い地位に付くと、仕事の要求が増え、自分自身の時間や家族との時間が減少する可能性があります。

人間関係の複雑化

昇進すると、同僚との関係が上司と部下の関係に変わることがあり、職場内の人間関係が複雑になる可能性があります。

専門スキルの低下

管理職やリーダーシップのポジションに昇進すると、特定の専門スキルを使う機会が減少する可能性があります。結果的に専門的なスキルが鈍る可能性があります。

リスクの増大

管理職は、失敗やミスがその後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に組織の業績やチームのパフォーマンスが直接的に自身の評価に繋がりますので、リスクが増大します。

出世しないメリットとは?

出世しないメリット

出世しないことにも多くのメリットがあります。人生を楽しむという意味では、仕事だけを頑張れば幸せというわけではありません。また、出世しないことで自分の時間が増え、好きなことにチャレンジすることも可能になります。

仕事は、必ずしも出世を目指さなければならないというわけではなく、その人が考える幸せ、その人が望む生活ができることが理想です。

趣味の時間や家族との時間が増やせる

昇進すると仕事の責任が増え、時間が取られることが多くなります。出世しないことで、より多くの時間を家族や趣味、又は自己啓発に費やすことができます。

ストレスやプレッシャーを軽減できる

出世するとプレッシャーやストレスが増えることがあります。出世しないことで、これらのプレッシャーを避け、ストレスを軽減することができます。

現在の業務に集中できる

昇進すると、新たな役職に伴う新しい業務や責任を学ぶ必要があります。出世しないことで現在の役職に集中し、その分野でのスキルや知識を深めることができます。

自己成長とパーソナルな達成感

伝統的な出世レースを追求しないことで、自己啓発、新しいスキルの習得、又はパーソナルな目標の達成により多くの時間とエネルギーを使うことができます。

人間関係を維持できる

昇進により、同僚との関係性が変わることがあります。出世しないことで現在の同僚との関係を維持し、職場の人間関係に起因するストレスを軽減することができます。

出世しないデメリットとは?

出世しないデメリット

出世しないことのデメリットは、収入が増えないことです。通常、給料や年収は役職に応じて増加していきますので、出世しないとなると、そもそも給料が上がらないのです。

また、たとえば自ら昇進を断ったとしても、出世しない人は「仕事ができない人」と思われる傾向があるため、社内の評価がガクンと下がります。その後のキャリアにも大きな影響が出ますので、出世しないという選択は、かなりのデメリットがあると言えるでしょう。

給料が増えない、年収がアップしない

一般的に、昇進することで給与が増加し、年収がアップします。出世しないことは、一定の給与レベルで頭打ちになる可能性があるということを意味します。また、出世せずに定年まで平社員だった場合と順調に出世した人では、生涯賃金に1億円以上の差が出ることもあります。

自分の意見やアイデアが採用されない

昇進すると、組織内での影響力が増えることが多くなります。逆に、出世しないことは、あなたの意見やアイデアが採用される可能性が低くなる可能性があります。

キャリアの停滞・出世コースからの離脱

出世しないことは、キャリアの停滞を意味します。新しい挑戦や責任を引き受けることで、スキルを伸ばし、新たな経験を積むことができるようになりますが、出世しない場合は会社の出世コースから外れます。

自己成長の機会が失われる

出世は新たなスキルを習得したり、新たな挑戦に直面したりする機会を提供します。出世しないことは、成長の機会が制限される可能性があります。

評価が下がる、実績が認められない

出世することは、自分の実績やスキルが認められる瞬間であり、達成感や認知をもたらすことがあります。出世しないことは、自分の働きが見過ごされる可能性があります。

将来のキャリアの選択肢が制限される

出世しないことは、将来のキャリアの選択肢が制限される可能性があります。昇進することで、新たな役割やチャンスが生まれることがあります。

出世したくないのに出世する人の特徴

出世したくないのに出世する人の特徴

出世を望まないのに出世してしまう人は、圧倒的な業績を上げている人や誰にも真似できない技術を持っている人が多い傾向があります。

たとえば、普段はおちゃらけて不真面目な人でも、営業成績が何年もトップという人もいます。日本の町工場には、何十年もかけて習得した特殊な技術を持つベテラン社員がたくさんいますので、本人が出世を望まなくても自然に出世してしまう人は一定数存在します。

優れたスキルや能力がある人

個々が特定のスキルや知識を持っていて、その分野で卓越した業績を上げている場合、その人物は昇進の候補となることが多いです。それは彼らが出世を望んでいるかどうかに関わらず、その能力が認められ、昇進することがあります。

責任感が強い人

出世したくないと思っていても、他人を助けたい、チームや組織の成功に貢献したいという強い責任感を持っている人は、昇進することがあります。

優れた人間関係の構築や対人スキルのある人

人と良好な関係を築く能力は、リーダーシップの重要な要素です。そのため、優れた対人スキルを持つ人は、出世したくないにもかかわらず昇進することがあります。

環境の変化に対応できる適応力のある人

状況や環境が変化しても柔軟に対応できる人は、新しい役職や責任を引き受けることが求められることが多いです。

社内政治を理解している人

組織内の力関係や政治を理解している人は、出世の流れに乗ることがあります。それは彼らが意図的に出世を追求しているかどうかに関わらず、社内政治の流れを理解していることが、彼らが昇進する一因となることがあります。

出世する人と出世しない人の違い

出世する人と出世しない人の違い

出世する人は、目立つ業績を上げることが多く、その結果として昇進のチャンスが増えます。また、出世する人は、チームをまとめ、他人を導く能力があります。

これは昇進において非常に重要な要素です。積極的に新しい課題や責任を引き受け、周りの人と効果的にコミュニケーションを取ることができ、認識の相違や意見の対立を解決する能力が高い人も出世する人と言えるでしょう。

逆に、出世しない人は、業績が平均以下であることが多く、チームをまとめることが苦手な人です。周りとコミュニケーションを取ることができず、対立や誤解が生じやすい性格の人も、出世しない傾向が高くなります。

その他にも、状況や環境の変化に対応できず、変化に適応するのが難しい人や、問題や課題に対して消極的で、自ら解決策を見つけようとしない人も、出世するのが難しい人と言えます。

出世したくない症候群とは?

「出世したくない症候群」は、一般的には専門的な医学的症候群として認識されているものではありませんが、この表現は職場で昇進や上位の役職を追求することを避ける傾向を指すために使われる言葉です。

私たちは、できれば責任やストレスを避けたいと誰もが思うものです。また、現在の仕事のレベルや役割に満足していれば、さらなる出世は必要ないと思うかもしれません。出世に伴う労働時間の増加やワークライフバランスの乱れに対する懸念も、出世したくないという傾向を引き起こす可能性があります。

管理職になりたくない!でも本当にそれでいいの?

管理職になりたくない

管理職になりたくない理由のランキングでは、「責任が重い」「プレッシャーがすごそう」「割に合わない」「仕事の時間が増える、残業が増える」「人間関係で悩みそう」といった内容が多くなっていました。また、「管理職に向いていない」「自分の性格的に無理」という意見もあります。

ただ、本当にそれでいいのでしょうか。確かに、管理職になれば責任は重大ですし、会社からのプレッシャーも増大します。これまで以上に仕事の時間が増え、毎日遅くまで残業になるかもしれません。人間関係の悩みやストレスで、体調を崩すことがあるかもしれません。

しかし、出世をするということは、自分自身の頑張りや努力が評価された結果です。努力や頑張りが評価されることは、あなたが必要とされているという意味でもあります。

一生やりがいのない仕事を続ける恐怖

逆に、仕事に責任がなく、誰からも期待されず、誰にも褒められず、いてもいなくても同じで、毎日定時で帰る人は、本当に幸せなのでしょうか。

一生やりがいのない仕事を、ただ給料がもらえるというだけで、ただ最低限の生活ができるというだけで続けることが、本当に自分自身にとって有益なことなのでしょうか。

出世しない人は転職でも不利になる

一つの会社に何年も何十年も勤めているのに出世しない人は、転職でも不利になります。

「前職ではどんな仕事をしていましたか?」「役職やポジションは?」「どういった成果を上げられましたか?」など、面接では必ず聞かれます。その際に、「ずっと平社員で誰にでもできる仕事をしていました」と答えたら、間違いなく採用はされないでしょう。

転職活動では、面接先の企業に対して、どれだけの利益を与えられるかをアピールすることが重要です。仕事ができない、利益が出せない、特別な知識や経験もない、技術やスキルも持っていないとなれば、雇ってくれる会社はどこにもありません。

管理職になることは自分自身の価値を上げること

出世することや管理職になることは、自分自身の価値を上げることに繋がります。わざわざ出世を断って、自分の価値を下げる必要はありません。

もしかしたら、ずっと出世しないままだと、将来リストラされるかもしれません。そういったリスクもありますので、出世して管理職になるほうがベストな選択と言えるでしょう。