ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナとは、発熱と口の中の粘膜にできる水疱性の発疹が特徴の急性の感染症です。ヘルパンギーナは特に1歳~2歳の子供に多く、主に5歳以下の乳幼児が感染する夏風邪と呼ばれるウイルス感染症です。

ヘルパンギーナは咳やくしゃみなどを介して人から人へうつる感染症で、感染者は90%以上が5歳以下の子供ですが、大人にもうつる病気です。大人がヘルパンギーナに感染すると、乳幼児よりも重症化しやすい特徴がありますので注意が必要です。

ヘルパンギーナの症状や特徴とは?

ヘルパンギーナの症状や特徴

ヘルパンギーナの症状は、2日~4日程度の潜伏期間の後に39℃~40℃の高熱が突然出ることが特徴です。また、喉の奥の粘膜が赤くなり、1mm~2mmほどの発疹が出ます。

発熱や喉の痛み

ヘルパンギーナは、急な高熱と共に始まります。熱は39℃以上に上昇し、喉の痛みや食べ物などの飲み込みに困難が伴うことがあります。

口の中に小さな水ぶくれ

口の中の粘膜や喉の奥に小水疱(小さな水ぶくれ)ができます。喉に痛みを感じたり、飲みこむのが難しくなるのは、小水疱が破れて口内炎がたくさんできることが理由です。

食欲不振や頭痛、腹痛や嘔吐

ヘルパンギーナは発熱時に頭痛や体のだるさ、不快感、腹痛や嘔吐などの症状が出る場合もあります。また、口の中や喉の痛みから、食欲不振になることもあります。

ヘルパンギーナの原因や感染経路

ヘルパンギーナの原因や感染経路

ヘルパンギーナは、エンテロウイルスの一種であるコクサッキーウイルスに感染することが原因です。また、ヘルパンギーナの感染経路は、唾液や鼻水、咳やくしゃみの他にも、トイレ後やおむつ交換後も感染するリスクが高くなります。

ヘルパンギーナは、保護者や保育士といった子供と接する機会が多い人、職業的におむつ交換などを行っている人からの感染もあります。

飛沫感染による原因

ヘルパンギーナのウイルスは人から人へと感染しますので、唾液や鼻水、咳やくしゃみなどによる飛沫によって感染します。

接触感染・経口感染による原因

ヘルパンギーナは、ウイルスがついた手で物に触れた後、手を口に入れて舐めたり、顔を触って口や目などの粘膜に入ることで感染します。また、ヘルパンギーナは便にウイルスが排出されますので、トイレの後やおむつ交換の際に感染する場合もあります。

ヘルパンギーナのセルフチェック方法

ヘルパンギーナのセルフチェック方法

ヘルパンギーナかどうかを調べるチェックリストを記載します。下記のチェックリストの複数に該当する場合は、ヘルパンギーナの疑いがあります。

また、喉の痛みや口内の水ぶくれが重度で、子供が十分な水分を摂取できない場合、脱水のリスクがあります。脱水の兆候が見られる場合は、すぐに医療専門家に連絡してください。

チェックリスト一覧

1.39℃以上の急な高熱が出ていますか?
2.喉の痛み、飲み込む時の痛み、声がかすれていますか?
3.口の中や喉に小さな赤い発疹(水ぶくれ)がありますか?
4.普段よりも食事を食べる量が少なくなりましたか?
5.頭痛、体のだるさ、全身の不快感はありますか?
6.腹痛や嘔吐の症状はありますか?

脱水の兆候のチェックリスト

1.体重が急激に減少していますか?
2.口が渇く感じがありますか?
3.少量の尿、黄色の尿、尿の回数が少ないですか?
4.泣いても涙が出ない、目や口が乾燥していますか?
5.疲労感や意識の混乱、イライラなどはありますか?

ヘルパンギーナが夏に多い理由

ヘルパンギーナが夏に多い理由

ヘルパンギーナはエンテロウイルスによって引き起こされます。エンテロウイルスは、特に暖かい気候と湿度の高い環境で活発になる傾向があり、これがヘルパンギーナが夏に多い主な理由です。

高温多湿の環境による原因

エンテロウイルスは人間の体内だけでなく、外部環境でも生き続ける能力があります。手に触れたものや飛沫によって広がるウイルスは、暖かく湿度の高い環境ではより長く生存し、感染力を維持します。

また、夏は屋外での活動が増えるため、子供たちが集団で遊ぶ機会が増えます。ウイルスが子供たちの間でより効果的に広がることで、夏にヘルパンギーナの発生が増えることになります。

ヘルパンギーナの潜伏期間

ヘルパンギーナの感染から症状が現れるまでの潜伏期間は、通常2日~4日とされています。潜伏期間はヘルパンギーナに感染した後、ウイルスが体内で増殖し、体がそれに反応して症状が現れるまでの時間を指します。

そのため、もし子供がヘルパンギーナに感染していると疑われる人と接触した場合でも、すぐに症状が出るわけではありません。感染リスクがあると思われる接触の後、少なくとも1週間ほどは様子を見て、症状が現れたら適切な医療を受けることが重要です。

保育園や幼稚園は何日休む?

もしヘルパンギーナが疑われる場合には、保育園や幼稚園は休ませるほうが良いでしょう。ヘルパンギーナは感染力が高く、人から人へうつるウイルスとなりますので、仮にヘルパンギーナの症状が出ている状態で保育園や幼稚園に行くと、他の子供にうつしてしまう確率が高くなります。

ヘルパンギーナは、発症から数日で徐々に回復していきますので、1週間程度は他の人との接触を避けて、保育園や幼稚園は休ませることをおすすめします。

大人のヘルパンギーナの特徴とは?

大人のヘルパンギーナの特徴

ヘルパンギーナは、主に5歳以下の子供にかかる感染症ではありますが、大人でも発症する場合があります。大人がヘルパンギーナに感染すると、子供よりも症状が重く、喉の痛みや発熱などの症状が見られます。

大人のヘルパンギーナの症状

3日~6日程度の潜伏期間を経て、突然の高熱が起こり、強烈な喉の痛みがあります。喉の痛みの原因は、口の内側や喉の奥に1mm~2mmほどの水ぶくれができるためです。ただ、発症から2日~3日ほどで熱は下がり、1週間ほどで喉の痛みもなくなっていきます。

ヘルパンギーナの対処法や治し方とは?

ヘルパンギーナの対処法や治し方

ヘルパンギーナには特別な治療薬や特効薬などはなく、対症療法による治療となります。基本的な流れとしては、水分補給をしっかりと行い、安静にしてゆっくり身体を休めることが重要です。

また、他の人との接触を避けて、うがい・手洗いを徹底することも非常に大切な対処法となります。

安静にする

ヘルパンギーナは、体が自己回復するためにも、十分な休息を取ることが重要です。発熱がひどい場合には、病院で解熱剤を処方してもらいます。

水分補給を行う

熱がある時や口内に痛みがある場合、水分補給は特に重要です。水分を摂取することで脱水を防ぎ、喉の痛みを和らげます。暖かいスープやフルーツジュース、ハーブティーなども適しています。

軟らかい食事を摂る

口の中の痛みにより、固形食品を食べるのが困難な場合があります。その場合は、ヨーグルトやプリン、アイスクリームなどの柔らかい食べ物が良い選択となります。口の中にできた水ぶくれなどの口内炎に対しては、鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方されることがあります。

子供のヘルパンギーナ発症時の食べ物や飲み物

子供のヘルパンギーナ発症時の食べ物や飲み物

ヘルパンギーナに感染すると、口の中や喉の痛みによって、通常の食事ができない場合があります。

そこで、ヘルパンギーナ発症時に適した食べ物や飲み物は、口の中の痛みを刺激しないような柔らかく、温度の高すぎない食物です。逆に、硬い食べ物や熱すぎる食べ物、辛い物や刺激が強い飲み物などはNGとなります。

ヨーグルトやアイスクリーム

ヨーグルトやアイスクリームは冷たくて柔らかく、口に入れると溶けていきますので、口の中の痛みを和らげます。

プリンやゼリー、スープ

プリンやゼリーも喉に優しく、栄養補給にもなります。また、スープも飲み込みやすく、栄養が豊富です。ただし、熱すぎるものは口の痛みを悪化させる可能性がありますので、十分に冷ましてから食べさせる必要があります。

果物ジュースやスムージー

果物のフルーツジュースやスムージーも、栄養が豊富で飲み込みやすい飲み物です。ただ、酸味の強いジュースや炭酸水などは、口の中の痛みを刺激する場合がありますので、少し甘めのジュースが良いでしょう。