ホットフラッシュとは、突然顔や体が暑くなり、ほてりやのぼせ、異常な汗が出る更年期障害の症状の一つです。
ホットフラッシュは、ホルモンの変化やエストロゲンの減少に関連しており、体温調節に関与する脳部分の機能に影響を与え、結果として発汗やのぼせ、ほてりなどのホットフラッシュの症状が発生します。
ホットフラッシュは更年期の女性に多く見られる症状ですが、中高年の男性でもホットフラッシュの症状が出る場合があります。
ホットフラッシュの初期症状や特徴とは?
ホットフラッシュの症状は、短時間から長時間、軽度から重度まで、女性によって異なります。一部の女性は、症状をほとんど経験しないかもしれませんが、他の女性は毎日何度もホットフラッシュを経験し、その強度が日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
尚、夜間のホットフラッシュは睡眠を妨げ、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。これらの症状が気になる場合や生活に影響を及ぼしている場合は、医療専門家に相談されることをおすすめします。
突然の体温上昇
ホットフラッシュの一般的な症状は、体全体が突然暑くなるという感覚です。上半身、又は顔に最も強く感じられます。
顔と首の赤み
多くの女性は、ホットフラッシュが始まると、顔や首が赤くなります。
汗がふき出る
体温が上昇すると、体はこれを冷却しようとします。その結果、多くの女性はホットフラッシュ中に汗をかくことがあります。これは特に頭部や上半身で顕著です。
心拍数の上昇
ホットフラッシュの間に、心拍数が急速に上昇することがあります。
急激な冷えや震え
ホットフラッシュが終わった後、体温が下がりすぎて寒さや震えを感じることがあります。
ホットフラッシュの前兆や見分け方は?
ホットフラッシュの前兆や警告信号は人により異なりますが、一部の女性はホットフラッシュが始まる前に、特定の感覚や症状を経験することがあります。
前兆はホットフラッシュが始まる直前に発生することもありますが、ホットフラッシュが始まる数時間前に発生することもあります。ホットフラッシュの前兆を経験するかどうか、またその具体的な症状は個々の女性によります。
体温の変化
ホットフラッシュの前に、微妙な体温の変化を感じることがあります。これは、体が全体的や特定の部位でわずかに暖かくなるという感覚であったり、逆に微妙な冷えを感じることもあります。
気分の変化
一部の女性は、ホットフラッシュの前に、イライラ感や不安感を経験します。
心拍数の増加
ホットフラッシュが始まる前に、心拍数がわずかに増加することを感じる女性もいます。
頭痛
一部の女性はホットフラッシュの前に頭痛を経験します。
ホットフラッシュの原因は?なりやすい人の特徴
ホットフラッシュは、特に更年期に入った女性に多く見られる症状で、体内のエストロゲンというホルモンが減少・低下するために発生します。以下はホットフラッシュを経験する可能性が高い特定の人の特徴です。
更年期の女性
更年期はエストロゲンのレベルが自然に低下する時期であり、ホルモンの変化はホットフラッシュを引き起こす主な原因です。
癌の治療や骨粗鬆症の治療を受けている人
特定のがん治療(乳がんや前立腺がんの治療など)や骨粗鬆症の治療などは、体内のエストロゲンレベルを下げ、ホットフラッシュを引き起こす可能性があります。
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タバコを吸っている喫煙者
研究では、喫煙者が非喫煙者よりもホットフラッシュを経験する可能性が高いことが示されています。
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肥満体・太っている人
体重が増えると、ホットフラッシュの頻度と重度が増加する可能性があるという研究結果もあります。
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遺伝的要素
家族に更年期の症状、特にホットフラッシュを経験した人がいる場合、あなた自身もホットフラッシュを経験する可能性が高くなるかもしれません。
男性のホットフラッシュの症状とは?
男性でもホットフラッシュは起こり得ます。特に、男性ホルモン(テストステロン)が低下すると、ホットフラッシュを経験する可能性があります。これは前立腺がんのホルモン治療などによって引き起こされることがあります。
体力の低下や性欲の減退
男性のホットフラッシュは、体力の低下や疲労感が増すことがあります。また、テストステロンレベルの低下は、性欲の減退を引き起こす場合もあります。
筋力や骨密度の低下
テストステロンは筋肉の維持に関与しているため、そのレベルが低下すると筋力も低下する可能性があります。また、テストステロンは骨密度の維持にも関与しているため、骨が弱くなる可能性もあります。
睡眠障害
不眠症や睡眠の質の低下を経験することがあります。
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うつ症状やイライラ、集中力の低下
注意力が散漫になることや、集中力が低下することがあります。不安、抑うつ、イライラ感を経験することもあります。
ホットフラッシュの症状のセルフチェック
ホットフラッシュは女性が更年期に経験する可能性が高い症状の一つで、自己チェックするための指標がいくつかあります。以下のような症状があるか自己観察し、これらの症状が頻繁に起こる、又は日常生活に影響を及ぼしている場合は、医療専門家に相談することを検討してください。
ホットフラッシュのチェックリスト
1.体全体、又は特定の部位(主に上半身または顔)が突然暑くなる感じがしますか?
2.顔や首が赤くなり、暖かく感じることがありますか?
3.頭部や上半身から汗をかくことがありますか?
4.心拍数が上昇し、心臓がドキドキと早く打つ感覚がありますか?
5.ホットフラッシュの終わりに寒さを感じることはありますか?
6.特に夜間にこれらの症状が出て、睡眠を妨げていますか?
ホットフラッシュに効く食べ物とは?
ホットフラッシュの症状を軽減するために、食事の選択は重要な役割を果たすことがあります。ただ、アルコールやカフェイン、辛い食べ物などはホットフラッシュを引き起こす可能性があるため、これらの摂取は控えることも重要です。
納豆や豆腐、味噌などの大豆製品
大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンに似た働きを持つとされており、ホットフラッシュの症状を軽減する可能性があります。豆腐や納豆、味噌などの大豆食品を摂ると良いでしょう。
全粒穀物や亜麻仁、種子やナッツ
亜麻仁(フラックスシード)や全粒穀物、種子、ナッツなどは、リグナンと呼ばれる植物エストロゲンが含まれており、ホットフラッシュを和らげる効果があると考えられています。
アーモンドやほうれん草、さつまいもやアボカド
一部の研究では、ビタミンEがホットフラッシュの症状を和らげる可能性が示されています。ビタミンEは、アーモンド、ほうれん草、スイートポテト(サツマイモ)、アボカドなどの食べ物に含まれています。
乳製品や緑の葉物野菜
乳製品や緑の葉物野菜、魚などに含まれるカルシウムやビタミンDは、骨の健康を保つのに重要です。特に更年期の女性にとって非常に大切な栄養素です。
ホットフラッシュに効く飲み物とは?
ホットフラッシュには、ハーブティーや大豆が含まれる飲料などが、症状を和らげるために役立つ可能性があります。また、発汗で失われた水分を補給するためにも、水やミネラルウォーターを飲むことも重要です。
水分補給
体温調節には充分な水分が必要です。ホットフラッシュや発汗で失われた水分を補うために、1日に6杯~8杯(約1.5リットル~2リットル)の水を飲むことを目指すと良いでしょう。
ハーブティー
カフェインはホットフラッシュを悪化させる可能性があるため、カフェインフリーのハーブティーがおすすめです。特にセージティーやブラックコホシュティーは、ホットフラッシュを軽減する効果があるといわれています。しかし、これらのハーブが全ての人に安全とは限らないため、摂取前には医療専門家と相談してください。
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大豆飲料
ホットフラッシュ対策として、納豆や豆腐などを食べ物として摂取することも可能ですが、飲み物として大豆飲料を活用する方法もあります。
ホットフラッシュを予防・改善するには?
ホットフラッシュは主にホルモンの変化によって引き起こされますので、完全に予防することは難しいかもしれません。しかし、ライフスタイルの変更によって、ホットフラッシュの頻度や強度を減らすことが可能です。
生活習慣の改善
飲酒やカフェインの摂取を控えめにし、タバコをやめると、ホットフラッシュの頻度や強度が減少することがあります。また、ストレス管理法を学び、適度な運動を行うことで体がリラックスし、ホットフラッシュの発生率が減少することがあります。
バランスの良い食事
大豆製品やリグナンを多く含む食品、ビタミンEを多く含む食品などが、ホットフラッシュの症状を軽減するのに役立つ可能性があります。
涼しい環境を作る
部屋を冷やす、扇風機を使用する、涼しい服装を選ぶなど、冷涼な環境を保つことで、ホットフラッシュの不快感を軽減することができます。
適度な運動
適度な運動は心身の健康を維持するだけでなく、ホットフラッシュを軽減することが示されています。毎週最低150分の中強度の有鞭酸を目指すと良いでしょう。
ストレスを管理する
ストレスはホットフラッシュを悪化させる可能性があるため、リラクゼーションテクニック(ヨガ、深呼吸、瞑想など)を用いてストレスを管理します。
体重を減らす
肥満はホットフラッシュを悪化させる可能性があります。健康的な体重を維持するために、バランスの良い食事と適度な運動を心がけます。
アルコールとカフェインの制限
アルコールやカフェインの摂取はホットフラッシュを悪化させる可能性があるため、制限します。
禁煙する
タバコはホットフラッシュを悪化させる可能性がありますので、禁煙されることをおすすめします。
十分な睡眠
良好な睡眠は、全般的な健康とホットフラッシュの管理に役立ちます。
ホットフラッシュの対処法や治療方法
ホットフラッシュの治療には、生活習慣の変更や医薬品の使用、補完と代替医療など、様々なアプローチがあります。
冷却枕や冷却マットなどの体を冷やす商品
冷却枕、冷却マット、冷却ベストなど、冷却製品を使って体温を下げることで、ホットフラッシュの症状を緩和することができます。
心理療法
認知行動療法(CBT)などの心理療法が、ホットフラッシュや関連する睡眠障害、不安障害を管理するのに役立つことが示されています。
ホルモン補充療法(HRT)
閉経後の女性にエストロゲンとプロゲステロンを補充することで、ホットフラッシュの症状を軽減することが可能です。ただし、ホルモン補充療法には一部の女性にとってのリスクも存在しますので、医師と相談してから行うべきです。
非ホルモン療法
一部の抗うつ薬、血圧降下薬、抗てんかん薬がホットフラッシュの症状を軽減するのに役立つことがあります。
漢方薬やサプリメントなどの代替療法
漢方薬やサプリメント、フィトエストロゲン(大豆製品やリンゴ、チェリー、ゴマ、麦などに含まれる植物性エストロゲン)などが、ホットフラッシュの症状を軽減するのに役立つことがあります。
ホットフラッシュに効果のある漢方薬は?
ホットフラッシュやその他の更年期障害の症状に対して、漢方薬が効果を示すことがあります。漢方薬は個々の体質や症状に合わせて選びます。
ただ、漢方薬には処方箋が必要なものもあり、体質や症状によって最適なものは異なります。また、副作用の可能性もありますので、漢方薬を使用する前には必ず医療専門家と相談してください。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血液の循環を改善し、体のバランスを取り戻す効果があります。これにより、ホットフラッシュや不安感、イライラなどの症状を和らげることが期待できます。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
イライラやストレス、気分の変動を緩和し、ホットフラッシュや多汗症の症状を軽減する効果があるとされています。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
体を冷やし、熱を取り除く効果があり、ホットフラッシュや不眠症の症状を改善することが期待できます。