ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンを多く含む食品を摂取することによって起こる食中毒です。ヒスタミンが多い食品としては、サバやサンマ、イワシやブリ、マグロやカツオ、イカやタコ、カニなどの魚介類、チーズやソーセージ、ヨーグルトなどがあります。
ヒスタミンは、体内で免疫応答やアレルギー反応を調節する役割を持っており、過剰になると体内のバランスを乱す場合があります。特に食品の保管状況が悪い場合や加熱処理が不十分な場合には、ヒスタミンの生成が増え、食中毒を引き起こすリスクが高まります。
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ヒスタミン食中毒の症状は?
ヒスタミン食中毒の症状は、食材を摂取後、1時間以内に現れます。
主な症状としては、頭痛や発熱、じんましん、下痢や嘔吐などです。重篤な場合には、呼吸困難や循環器系の問題などの緊急医療を必要とする症状が発生することもあります。これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡することが重要です。
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皮膚の症状
発疹、かゆみ、紅潮、皮膚の腫れ
消化器系の症状
嘔吐、下痢、腹痛
循環器系の症状
めまい、低血圧、心拍数の増加
呼吸器系の症状
喘鳴、息苦しさ
中枢神経系の症状
頭痛、めまい
ヒスタミン食中毒を予防するには?
ヒスタミン食中毒を予防する方法は、食品の適切な取り扱いと保存です。予防策を守ることで、ヒスタミン食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。ただし、全ての食中毒を100%防ぐことは難しいため、体調に異変を感じたら適切な医療を受けることが重要です。
新鮮な食材の選択
特に魚やチーズなど、ヒスタミンが生成しやすい食材は新鮮なものを選びましょう。
食品の適切な保存
食品は冷蔵・冷凍保存し、なるべく早く消費するようにします。また、冷凍した食品を解凍する際には、冷蔵庫でゆっくりと解凍することが推奨されています。
十分な加熱
食品を調理する際は、中まで十分に加熱することで、ヒスタミン食中毒のリスクを下げることができます。ただし、ヒスタミン自体は熱に強いため、一度生成されたヒスタミンは加熱しても除去することはできません。
食事のバランス
ヒスタミンを多く含む食品を避けるだけでなく、全体としてバランスの良い食事を心掛けることも重要です。
ヒスタミン食中毒の原因とは?
ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンを多く含む食品を摂取すると、体内で異常な反応が起きることで生じます。ヒスタミンが過剰になると、体に有害な効果をもたらすためです。
食品中にヒスタミンが含まれる原因は、食品の劣化や不適切な保存状態です。特に魚介類や発酵食品などは、ヒスチジンというアミノ酸から微生物によりヒスタミンが生成されることが知られています。
食品の保存状態による原因
新鮮さを失った魚やチーズ、又は不適切に保存された食品を食べると、大量のヒスタミンを摂取するリスクが高まります。ヒスタミン食中毒の原因は、魚介類や野菜、発酵食品などのヒスタミンを大量に生成する食品の新鮮さを保つことができなかった場合、又は適切に保存しなかった場合に発生する問題となります。
ヒスタミンの生成とは?
ヒスタミンは、体内や食品中で特定のアミノ酸、ヒスチジンから生成される生物活性物質です。体内では神経伝達物質や免疫反応の調節など、様々な生理的役割を果たしています。
食品中のヒスタミン生成は、主に食品が劣化する過程で行われます。特に魚介類や発酵食品などの一部の食品では、微生物の活動によりヒスチジンがヒスタミンに変換されます。これらの食品は、特に適切な温度管理が行われない場合や、食品が新鮮でない場合にはヒスタミンの生成が増え、食中毒のリスクが高まります。
ヒスタミンは熱に強く加熱しても分解されない
ヒスタミンは熱に強い性質を持つため、一度生成されたヒスタミンは加熱調理によっても簡単には分解されません。ヒスタミン食中毒を防ぐためには、新鮮な食品を選び、適切な保存方法を用いることが重要です。
ヒスタミンが多い食べ物や食材とは?
ヒスタミンは、食品の劣化や一部の微生物の作用により生成されます。特にヒスタミンが多く生成される可能性がある食品や食材には、魚介類や発酵食品、一部の野菜や冷凍食品などがあります。
マグロ、カツオ、ブリなどの魚介類
マグロ、カツオ、ブリ、カジキ、サンマ、サバ、イカ、タコ、エビ、カニなどの特に鮮度が落ちた魚介類や保存状態が悪い魚介類は、ヒスタミンを多く含む可能性があります。また、スモークサーモンなどの加工された魚介製品もヒスタミンを多く含むことがあります。
チーズ、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品
チーズ、ソーセージ、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品、酵母を使ったビールやワインなどの製品は、一部の微生物の作用によりヒスタミンが生成される可能性があります。
トマト、なす、ほうれん草などの野菜
トマト、なす、ほうれん草などの一部の野菜もヒスタミンを含むことがあります。
冷凍食品や缶詰
冷凍食品や缶詰など、保存期間が長い食品は、ヒスタミンを多く含む可能性があります。
ヒスタミンを抑える栄養素は?
ヒスタミン食中毒を抑える栄養素は、ビタミンCとビタミンB6になります。ビタミンCとビタミンB6は、体内のヒスタミンレベルを制御するのに役立つとされており、特に二つの栄養素が注目されています。
また、ビタミンCとビタミンB6を積極的に摂取することで、体内のヒスタミンレベルをある程度コントロールすることが可能になると考えられます。ただ、これらの栄養素がヒスタミン食中毒を完全に防ぐわけではないことを理解することも重要です。
ビタミンCの効果
ビタミンCは、ヒスタミンを分解する酵素の働きを助け、ヒスタミンレベルを下げる効果があるとされています。ビタミンCは柑橘類や赤ピーマン、キウイ、ストロベリーなどに多く含まれています。
ビタミンB6の効果
ビタミンB6もヒスタミンの代謝を助けるとされています。ビタミンB6は、肉、魚、全粒穀物、バナナなどに多く含まれています。
ヒスタミンを抑える効果がある食べ物とは?
ヒスタミンを抑えるには、ヒスタミンを過剰に生成しない、又はヒスタミンを分解する役割を持つ栄養素を含む食品を摂取することが推奨されます。
レモン、オレンジ、グレープフルーツなど
オレンジやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘類やイチゴ、パプリカ、ブロッコリー、キウイなどは、ビタミンCが豊富に含まれていますので、ヒスタミンの分解を促す働きがあります。
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肉、魚、バナナ、アボカド、全粒穀物など
肉、魚、全粒穀物、バナナ、アボカドなどは、ビタミンB6が含まれていますので、ヒスタミンの代謝を助けるとされています。
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米、豆腐、納豆、卵、乳製品など
米や豆腐・納豆などの大豆製品、卵や発酵していない新鮮な乳製品などは、ヒスタミンの含有量が少ないとされています。
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新鮮な食品
新鮮な肉や魚、野菜や果物などは、劣化によるヒスタミンの生成が少ないです。
ヒスタミンを抑える効果がある飲み物とは?
ヒスタミンを抑える効果が期待できる飲み物は、主にヒスタミンの生成を抑制する可能性がある成分やヒスタミンの分解を助ける成分を含むものです。
ビタミンCが豊富なジュース
オレンジジュースやグレープフルーツジュースなどの柑橘系のジュースは、ビタミンCを豊富に含んでいます。
ネトルやカモミールのハーブティー
特定のハーブティーは抗ヒスタミン効果を持つとされています。たとえば、ネトル(イラクサ)やカモミールのハーブティーは、ヒスタミンを抑制する可能性があります。
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グリーンティー
グリーンティーに含まれるカテキンは抗酸化作用があり、体内のヒスタミンレベルを下げる助けになる可能性があります。
水・ミネラルウォーター
充分な水分を摂取することは、体全体の健康を維持し、代謝機能を高めることに寄与します。これは、ヒスタミンの代謝と排出にも有益です。
ヒスタミン食中毒になる人とは?ならない人との違いは?
ヒスタミン食中毒になる人とならない人の違いは、体質やアレルギー反応の違いが考えられます。
ヒスタミンの代謝能力の違い
体内にはヒスタミンを分解するジアミンオキシダーゼなどの酵素がありますが、その活性は人によって異なります。この酵素の活性が低いと、摂取したヒスタミンの分解が遅れ、ヒスタミン食中毒のリスクが高まる可能性があります。
体質やアレルギー反応の違い
その人によっては、ヒスタミンに対して特に敏感で、少量のヒスタミンでも反応を示すことがあります。また、既存のアレルギーや喘息などの状態がヒスタミン反応を増幅させ、ヒスタミン食中毒のリスクを高める可能性もあります。
大量摂取による食中毒
ヒスタミンを多く含む可能性がある食品を大量に摂取すると、ヒスタミン食中毒のリスクが高まります。
ヒスタミン食中毒の対処法や治し方とは?
ヒスタミン食中毒の症状は、1日以内に自然に治ることが多いですが、以下のような対処法が考えられます。
安静にする
体力を回復させるために、十分な休息を取ることが重要です。
水分補給
吐き気や下痢などによる脱水症状を防ぐために、十分な水分を摂取することが重要です。電解質を補うためにスポーツドリンクや経口補水液も有効です。
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食事制限
消化器系の症状が落ち着くまでは、消化しやすい食事を摂るようにすると良いでしょう。
医療機関を受診する
症状が重い場合、又は改善しない場合は、医療機関を訪れることが必要です。適切な診断と治療のために、何を食べて症状が出たのかを医師に伝えることが重要です。
ヒスタミン食中毒の治療薬は?食中毒はどれくらいで治る?
ヒスタミン食中毒の症状は、通常、24時間以内に自然に治ることが多いです。しかし、その期間はその人の体質や摂取したヒスタミンの量、症状の重さによって異なるため、一概には言えません。
軽度の症状であれば自宅で休息し、水分補給をすることで改善することが期待できます。ただ、重度の症状や持続的な症状がある場合には、医療機関を受診することが推奨されます。特に呼吸困難、めまい、意識の混濁などの重症の症状が現れた場合、又は症状が24時間以上続く場合には、すぐに専門の医療機関の助けを求めることをおすすめします。
ヒスタミン食中毒の治療薬
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが体内で引き起こす反応を阻害することで、症状を軽減します。蕁麻疹、かゆみ、発疹などの皮膚症状を改善するのに有用です。